中国の経済的および軍事的な拡大に対し、米国はできるかぎりの冷静さで受け入れるべきだ。米国が受け入れなければならない苦痛に満ちた現実は、アジア太平洋地域のパワーバランスの大変動がすでに起きたということだ。米国が比類ない優位性と一方的にルールを決める力を持った時代は去った。
中国のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に対する米国の反対にもかかわらず、アジアの多くの国々は支持に回った。人民元が国際通貨基金(IMF)の準備通貨バスケットに加わるのも不可避だと思われる。さらに米国は、中国を除外した環太平洋経済連携協定(TPP)の締結に向け大きな困難に直面している。
軍事的には、米国は将来も支配的なグローバルパワーであり続けるが、東アジアでの絶対的な優位性は揺るぎないものではない。中国の軍事的(特に海軍の)能力の劇的増強は、貿易に多大に依存している地域の超大国として予想されうる以上のものではない。米国首脳の大半は、自国がもはや空と海を独占できない見通しを非公式に認めている。米国の役割はアジア地域の対抗勢力であることへと後退するだろう。
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