老舗出版社とITの旗手が手を結んで誕生したKADOKAWA・DWANGO。しかし、まだ「21世紀の形」を示すことはできない。
「世紀の統合」のはずだった。老舗出版社とIT界の旗手。KADOKAWAとドワンゴという新旧メディアの経営統合で衝撃が走ったのは昨年5月。その記者会見で、KADOKAWAの経営トップ、角川歴彦氏は「21世紀の新しいメディアを作る」と力強く宣言した。日本のメディア界もついに新次元に突入するのか。その歴史的瞬間が目撃されたはずだった。
熱狂から失望へ。昨年10月の持ち株会社KADOKAWA・DWANGOの誕生から半年が経過した今、世紀の統合に対する周囲の反応は様変わりした。老舗メディアを巻き込んだ「21世紀の形」が見えてこないのだ。「シナジーの取り組みが遅い。一緒になって何をやろうとしているのか……」(アナリスト)。
皮肉にも世間的に注目されたのは、今年1月にKADOKAWAが正社員の1割以上に当たる約300人程度の希望退職の募集に踏み切ったことくらいだ。2014年3月時点でKADOKAWAの平均年齢は39.8歳、平均年収は641万円。一方のドワンゴは同年9月時点で平均年齢32.7歳、年収581万円。出版事業のほうが年齢も給与も高い。希望退職によってこのギャップは小さくなった。
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