インターネットイニシアティブ(IIJ)会長兼CEO 鈴木幸一氏に聞く 『日本インターネット書紀』を書いた

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日本にIT産業はなく、IT利用産業があるだけだという。

日本インターネット書紀 この国のインターネットは、解体寸前のビルに間借りした小さな会社からはじまった
日本インターネット書紀 この国のインターネットは、解体寸前のビルに間借りした小さな会社からはじまった(講談社/476ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──IIJの歴史とインターネットの歴史をまとめました。

編集者に強く勧められて、ボケる前に書いておこう、と書き始めた。飛行機で移動をしている最中などに書き進めていったのだが、とにかく時間がない。時間がないので、いろいろなものをはしょってしまった。まだ生々しいことも多く、すべてを書き残すことも難しかった。

──そもそもIIJを設立したのは、東京電力が10億円を出すと約束していたからだった、と。

カネがあるならばやってもいいかな、ということで始めた。しかし、実際には一銭もなかった。肝心のライセンスもない。設立当初は「やりましょう」と、多くの人が集まってきたが、カネもライセンスもないとわかった瞬間から顔を見せなくなった人もいた。

設立当初は、細かいことで嫌なことが多かった。役所に行くと、廊下で待たされる。担当者は新聞を読んでいる。それを見て怒ったら、隣にいた商社マンに注意された。「鈴木さん、こういうところに来て役人を怒るなんて非常識。暇潰しのためにこれからは週刊誌を持ってきてください」って。課長補佐ぐらいの人物が新聞を読みながら平然とこちらを待たせるのだから「このやろう」って思うじゃない? でも、そういうことは本には書かなかった。

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