他人の意見を聞かない、自分の都合ばかり押し通す人が増えているという。その精神構造を分析し、対処法を探っていく。
他人の意見を聞かない典型が安倍晋三首相
──安倍晋三首相の真骨頂なのですか。
あの方は他人の意見を聞かない典型だ。象徴的なのは、昨年12月の衆議院選挙開票の特別番組での言動だ。質問にいきなりイヤホンを外した。自分の言いたいことだけを言っているように見受けた。聞きたくないという意思表示にほかならない。沖縄県の知事にもなかなか会わない。会わないのは、その人の意見を聞かないことを態度で示すメッセージだ。自分に対して批判的な意見は聞かないし、聞きたくないのだと思う。
小説『薔薇の名前』で著名な記号論哲学者、ウンベルト・エーコ氏に『永遠のファシズム』という本がある。その中でファシズムになっていく過程には、「差異の恐怖」を味わわせることがあるという。ほかの人と違うことをしたら、あるいは権力を持っている者に批判的なことを口にしたら、何かひどい目に遭うのではないか、そういう恐怖感を抱かせる。その種の分析研究を知っていて、もしかしたらそれを狙っているのかもしれない。
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