集団的自衛権の行使を可能にするための安全保障法案には「海外での武力行使に道を開く」といった批判に加え、各種の世論調査で「わかりにくい」という反応が根強い。にもかかわらず、安倍晋三首相率いる自民党は、衆議院特別委員会で採決を強行。法案は衆院を通過したが、参院での審議は難航必至だ。政権の求心力低下も避けられず、経済政策や社会保障改革にも支障が出ることは間違いない。安倍政権の先行きには黄信号が灯ってきた。
そもそも、この安保法案には無理がある。「保持しているが、行使は憲法上許されない」としてきた集団的自衛権を、「日本に影響が及ぶ」との限定付きで容認することになった。
できるだけ広範な行使を思い描いていた安倍首相に対して、公明党と内閣法制局が制約を主張、妥協の産物として、1.幸福追求などの権利が根底から覆る明確な危険、2.ほかに手段がない、3.必要最小限の行使にとどめる、という3要件の下での限定容認となったのである。
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