4カ月に及ぶ安保法制の審議は、熟議による議会制民主主義への挑戦であった。安倍晋三政権が通常国会の会期を3カ月以上も延長したにもかかわらず、国会審議の中で政府は極めて頻繁に答弁に窮し、審議に日数を要して安保法制の成立が会期末までずれ込んだ。
この国会における安保法制審議での政府答弁のずさんさは、日本の議会政治史上に残る汚点である。元最高裁判所長官や歴代の内閣法制局長官がこぞって憲法違反と評価する法案を通すにはあまりにお粗末な審議であり、政府指導者の誠実さが疑われる。この点はあらためて批判しておきたい。本稿では、安保法制反対運動の意義と今後の政治課題について考えてみたい。
安保法制反対の世論が高まったことは、憲法9条に象徴される戦後的な価値に対して、戦争を知る世代はもとより、若い世代も強い愛着を持っていることを意味する。安倍首相は集団的自衛権行使容認に続けて、憲法改正に取り組むつもりかもしれない。来年の参議院選挙で憲法改正を争点にすることも考えられる。
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