新年度予算が衆議院を通過し、国会論戦のテーマは安全保障法制の整備に移ることとなる。
安倍晋三内閣は、昨年7月1日の集団的自衛権行使容認の閣議決定を具体化するのみならず、自衛隊の海外派遣を広範に可能にするという法律整備を打ち出している。自民、公明両党が協議を続けているが、政府・自民党が過大な提案をし、公明党が若干の修正をするという出来レースのようである。安倍政権は、平和国家あるいは町人国家といわれた戦後日本という国の性格を変え、国際社会におけるサムライの仲間に入ることに執心している。ナショナルアイデンティティ(国是)をめぐる政治が70周年の終戦の日に向かって政治の大きな争点となるであろう。
単に武力を行使したいというだけでサムライの仲間に入れてくれと言っても、他国は相手にしてくれない。したがって、実力行使には何らかの大義名分が必要となる。この政権が価値観の問題について従来の政権よりもはるかに雄弁なのは、その点に由来する。
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