ホンダ社長交代の狙い 飛躍の準備は万全か
新車投入の遅れとリコール費用で 年度は減益の公算。新社長は何をなすべきか。
2月23日に開かれた緊急会見の冒頭、ホンダの伊東孝紳社長はこう述べ、前向きなトップ交代であることを強調した。「飛躍する準備が整った。今ここで新しく若いリーダーの下、一丸となってチャレンジすべきと考えた」──。
次期社長となる常務執行役員の八郷(はちごう)隆弘氏(55)は、車体設計の経験が長いほか、開発や生産、購買と幅広く経験した異色の経歴の持ち主だ。取締役の経験はなく、“飛び級”でトップに就く。
これまでホンダの社長は、子会社の本田技術研究所の社長を経ることが慣例だったが、八郷氏にその経験はない。長年続いた不文律が8代目社長で破られることになった。
伊東社長は、「世界各地域の事業が自立するとともに、効率・効果を上げていくタイミングにさしかかった」と述べており、海外経験が豊富な八郷氏をトップに据え、改革の加速を図る構えだ。
就任前の2008年に起きたリーマンショックを教訓に伊東社長が取り組んだのは、売上高の半分を北米が稼ぐ偏った収益構造の是正だった。
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