原油安が止まらない。2014年前半に1バレル=100ドルを超えていた価格はわずか半年で5割安に。米国シェール企業が破綻し、ロシア国債はジャンク債扱い。日本の商社も1000億円単位の損失を計上するなど、不吉なムードが漂い始めた。原油安をめぐる経済最前線を追った。
サウジが仕掛けたチキンレース
原油は20ドル台突入も
丸紅が油ガス事業で950億円の減損損失、東燃ゼネラル石油865億円、昭和シェル石油500億円の在庫評価損……。
石油関連企業に激震が走っている。原油価格の暴落で巨額の損失を計上、業績見通しの下方修正が相次いでいるのだ。2月3日は出光興産、4日は三菱商事、三井物産、JXホールディングスなどが決算を発表する。だが、軒並み厳しい数字になることは必至。中でも、高値のときに仕入れた在庫を抱えるJXなど石油元売り5社は、赤字転落が避けられない見通しだ。
わずか半年で5割以下。原油価格の代表的指標であるWTI原油の先物は、昨年6月には1バレル=100ドルを超えていた。それがジリジリと値を下げ、7月末に100ドルを割り込むと一気に急降下。1月28日時点で44.45ドルに落ち込み、リーマンショック後の最安値33.87ドルに接近している。
シェール革命に異変 開発企業が経営破綻
1月7日、米国発のニュースが世界中を駆け巡った。テキサス州のシェールオイル・ガス開発会社、WBHエナジーが米連邦破産法11条適用を申請、経営破綻したのだ。シェールオイル開発企業では初の破綻とされ、負債額は約60億円。
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