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野口悠紀雄vs.御厨 貴 高度成長の幻想を暴く Part1 ニッポン経済神話解体

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上写真:東海道新幹線は昨年に開通50周年を迎えた(KPS)

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今年は敗戦70周年に当たる。焦土から経済大国を築いた成功体験は、日本人にとって自信の源泉だった。中国の超大国化でその根本が揺らいでいる現在、日本は何を拠り所にすればいいのか。経済研究、政治研究の大家が白熱討論。

──多くの日本人にとって、戦後史、特に高度経済成長は誇るべき歴史であり、戻るべき原点です。

野口 私は1940年生まれで、日本経済の発展・衰退の過程と自分自身のこれまでの歩みが重なっています。旧大蔵省に入った64年、東海道新幹線が開通。資金を融資した世界銀行の訪問団と一緒に大阪まで試運転に同乗したのは忘れられない経験です。

日本の高度成長は世界に誇りうる成功体験だと思いますが、高度成長できた理由は簡単で、それはライバルになったはずの中国が国を閉ざして、農業国から脱却しようとしなかったからです。工業国の中で比較的低賃金だった日本が、それを武器に生産を急拡大したのが60年代までの経緯です。農業社会から都市社会に移行し、賃金格差によってキャッチアップするという当たり前の道のりですが、当時の中国が世界の市場経済に参加していたら、こんなに順調ではありえなかったでしょう。

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