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ブラジル「絶体絶命」 日米も危機連鎖に戦々恐々

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緊迫する中南米・中国情勢。米国が最も恐れていた不発弾がついに火を噴いた。

相場の行先きも全く読めなくなった(サンパウロ証券取引所)(PANA)

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ブラジル情勢はまさに一触即発の様相だ。もともとブラジルは楽天的な国民性で知られ、過去にも幾多の難局を乗り切ってきた底力もある。だが、年明け早々の通貨急落と債務危機の深刻化は、カーニバルの余韻をも一気に吹き飛ばしかねない。しかも、「ブラジル問題の処理を誤れば、世界経済危機の引き金を引くことになる」(小林晋一郎・東銀リサーチインターナショナル研究理事)との認識さえ必要になっている。

まず、ブラジル危機をめぐる経緯を整理しておこう。本格的な危機突入の契機は、昨年8月17日のロシアによる通貨切り下げと民間対外債務モラトリアム宣言だった。9月3日には、ムーディーズ社がブラジルの外貨建て長期債務の格下げ(B1→B2)を発表、隣国コロンビアが通貨切り下げに追い込まれた。

これを機にブラジルでも外資流出が加速、ブラジル通貨当局はレアル買い介入や金利引き上げなどで対応したが、外貨準備高は9月の1カ月間だけで3分の1近い215億ドルを失った。10月28日、ブラジル政府は「財政再建三カ年計画」を発表。これを受け、11月13日に国際通貨基金(IMF)が総額415億ドルに上る国際金融支援を表明、いったん危機は収束に向かうかに見えた。

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