2020年東京五輪が箱根ランナーを変えた? 正月決戦の先にある“夢舞台”へのアプローチ

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服部は夏合宿からマラソンに向けたトレーニングを徐々に入れていった。基本的な練習メニューはほかの選手と同じだが、ほかの選手よりも距離や本数を意図的に増やしたという。夏合宿中には40km走も2回実施。そのうち1回は2時間15分台で走っている。本人は「土台作り」というが、マラソンの準備を着々と進めてきた。

「箱根があるからマラソン練習ができないという発想は嫌なので、箱根が控えていても、マラソン練習を継続していくつもりです。これまで東洋大学の選手はやったことがないスタイルになりますが、新たな練習の流れ、スケジュールを監督と相談しながらやっています」

と服部が言えば、酒井監督も、

「服部は2月の東京が初マラソンになりますが、そこがゴールではありません。翌年のリオ五輪の選考レースを見据えたプロセスの中でのチャレンジです。その過程で箱根も戦いますし、箱根のトレーニングの中でマラソンの取り組みもやる。今季誕生したマラソンの世界記録(2時間2分57秒)は1km2分55秒のペースです。これはわれわれが箱根で目指すペースに近いのです。マラソンの世界記録を箱根で体感して、マラソンに移行していきたいと思っています」と話す。

ちなみに初マラソンのターゲットは「サブ10(2時間10分切り)」だ。東洋大学は近年の箱根駅伝で“主役”を担ってきたチーム。この6年間で4度の総合優勝(2位が2回)を成し遂げているが、服部のマラソン挑戦は大学にとっても新たなチャレンジとなる。「箱根」と「マラソン」の両方を追いかけて、どれだけの結果を残すのか。

箱根駅伝では服部の2区が有力で、酒井監督は「勇馬は前回の2区と大きく違います。前回はつなぐ2区でしたが、今回は稼ぐ2区。トラックシーズンは駒澤大学の主力選手と比較してよくありませんでしたが、ロードに関しては自信を持っています。マラソンを見据えていることもあり、距離が長いほうが勇馬は強さを発揮できる」と、3年生エースに大きな期待を寄せている。

駒大のエースは別のアプローチ

服部勇馬がマラソン参戦を決めたのは夏合宿の前だったが、それより先に今季の「マラソン挑戦」を表明していた4年生エースがいる。駒澤大学の中村匠吾と村山謙太だ。

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