日本の大手ガス会社の財務安定性は電力会社以上、環境負荷の低いLNGの需要拡大など成長余地も《ムーディーズの業界分析》


コーポレートファイナンスグループ
VP-シニアアナリスト 岡本賢治

日本のガス業界の動向

ガス事業者は国内に211社あるが、実質的な地域独占で、大手3社と多数の中小規模の事業者という事業構成になっている。市場シェアで見ると上位寡占が進んでおり、東京ガス36%、大阪ガス25%、東邦ガス11%の大手3社が日本のガス販売量の70%超を供給している。中小規模のガス事業者が残りの30%ほどのシェアを占めており、これらの大手業者とは効率性や利益性に大きな差が見られる。

日本のガス会社に対する規制の枠組みは、十分に確立されており、規制環境は安定的であり信頼性が高い。総括原価方式や原料費調整制度などの安定した規制と強固な枠組みが、ガス会社のコストや投資の回収可能性を支えており、高い信用力の主な根拠となっている。ムーディーズは東京ガスにAa1、大阪ガスにAa2の格付けを付与している。見通しは安定的である。

政府はガス事業の規制緩和を徐々に進め、自由化市場を拡大してきた。自由化市場の新規参入者は、電力会社および石油会社などであるが、その対象は大口顧客が中心となっている。事業規制は自由化の方向に進んできたが、現状以上の小口顧客市場への参入プレーヤーの出現は収益面を考えても想定しづらく、また、政府のエネルギー政策の根幹は長期的な安定供給の確保であり、制度改革においても業界の枠組みを大きく変更することは考えにくい。

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