117クーペにベレット、いすゞ旧車が人気上昇の訳 価格高騰も穏やか、まだ買える手頃感で再注目

拡大
縮小
イスズスポーツが展示していた117クーペ(筆者撮影)

一方、117クーペは、1968年から1981年まで販売された2ドアのクーペモデル。スタイリングは、イタリアを代表する工業デザイナーのジョルジェット・ジウジアーロ氏が担当。当時の欧州製スポーツカーにも通ずる美しく、流麗なフォルムが特徴的だ。初期型や中期型は丸目のヘッドライトを採用し、1977年のマイナーチェンジでは、ヘッドライトが角型4灯となるなどの変更を受けている。なお、エンジンには、1.6L、1.8L、2.0Lの直列4気筒ガソリンエンジンのほか、2.2Lのディーゼルエンジンなどもあった。

いすゞの旧車が密かなブームになっている背景

レストア前の状態で展示された117クーペ(筆者撮影)

そんないすゞの名車たちを当展示会に並べたのが、東京都羽村市を拠点とするイスズスポーツ。同店のブースで一際目を引いていたのは、ボロボロの117クーペだ。外装やエンジンなど、さまざまな箇所に錆や腐食が浮き出ており、タイヤはパンクした状態。内装もシートが破れているなど、まるで野外に捨てられ、数十年間経過した放置車両のような姿だった。

フルレストアされた117クーペのリヤビュー(筆者撮影)

一方、となりには、外装を深い緑に塗装し、新車のような輝きをみせている117クーペも展示。つまり、これらは、同店が施したレストアの前と後をイメージさせる演出なのだ。ほかにもブースには、薄紫色に塗装された117クーペ、渋めのグレーで彩られたベレットも並べられている。いずれも内外装はもちろん、フロントボンネット内に鎮座するエンジンまで、「現役」であることを感じさせる仕上がりだ。

イスズスポーツでは、いすゞ製のこれらスポーツカーを中心に、レストアや修理・メンテナンス、車両の販売・買取などを手がけるほか、117クーペ用を中心としたオリジナルパーツも製作。いすゞ車専門店として30年以上の実績を誇り、豊富な知識や技術を持つことが特徴だ。

展示車両117クーペのレストア内容

117クーペの内装(筆者撮影)

イスズスポーツの担当によれば、緑の117クーペは、顧客のニーズに合わせ、メルセデス・ベンツのスポーツモデル「SLK」にかつて設定されていた車体色を特別に調合して塗装したという。また、117クーペの場合は、内装にこだわるユーザーも多く、台湾楠を使ったメーターパネルの張り替えや、メーターまわりなどのメッキ部分には再度メッキ加工を施すなど、細部にわたるまで各部をモディファイしているという。

次ページどんなユーザーがいすゞの旧車を買っているのか?
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT