117クーペにベレット、いすゞ旧車が人気上昇の訳 価格高騰も穏やか、まだ買える手頃感で再注目

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新車同様に仕上げられた117クーペのエンジンルーム(筆者撮影)

さらにエンジン各部には、液体と混ぜた細かい砂などを高圧で噴出しアルミを削るウェットブラストという手法を用いることで、経年劣化による腐食などを徹底的に除去。とくにいすゞ車は、整備性があまりよくないこともあり、かなりの手間や時間をかけてレストアを施したという。

購入するユーザー層と人気の理由

同店の顧客層は、50代後半から70代中盤が中心。学生だった青春時代などに、いすゞのスポーツカーに憧れていた世代だ。また最近は、当時を知らない若い年代からも支持を受けているという。理由は、まず、誰にでも運転しやすいコンパクトな車体と流麗なデザイン。とくに117クーペは、旧車市場で人気が高い日産の「ハコスカ(1968年発売の3代目スカイライン)」などの角張って無骨なデザインと比べ、「街中にもマッチするスタイリッシュなフォルムに魅了されるユーザーも多い」という話だった。

中古車価格が比較的リーズナブルなことや、純正部品が入手しやすい点も、人気が高い理由だという。例えば、117クーペの場合、同店によれば「ほぼ250万円程度で車体が手に入り、もっとも人気が高い初期型でも500万円くらい」だという。現在は、1000万円を超える車体も多い日産などの人気旧車と比較すると、かなり安く感じるユーザーも多いのだろう。

フェンダーミラーなどのパーツは、現在も入手可能で、比較的リーズナブルなので、レストア費用を抑えられる(筆者撮影)

また、いすゞ車は、現在でもメーカーが生産し続けている純正部品も多く、価格も手頃だという。例えば、117クーペの純正フェンダーミラーは、メッキ処理を施されているにもかかわらず1万円程度で手に入るというのだ。近年は、日産やトヨタ、マツダやホンダなど、メーカーでも古い一部モデルについて、純正部品を復刻販売する動きはある。ただし、再販は喜ばしいが高価な部品も多く、レストア費用にかなり影響を受けている。その点でベース車両や純正部品が比較的安く入手できることも、いすゞ製スポーツカーを手に入れたいユーザーが増えている要因だろう。

次ページ定番旧車はもちろん、ネオクラシック高騰で脚光を浴びる
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