街場のメディア論 内田樹著
著者は最近、出版バブルに警鐘を鳴らすために自著の出版を「塩漬け」にしたことで話題となった仏文学者。本書にもそのことにつながる現代メディアの危機的状況が論じられている。新聞部数の激減、出版不況、テレビの視聴率低下などの原因として、ジャーナリズムの劣化を挙げる。
たとえば、出版に関する言説では、版元が「できるだけ安く、できるだけ口当たりがよく、できるだけ知的負荷が少なく、刺激の多い娯楽を求めている」と読者を見下す態度に原因があると述べる。このまま無内容だとわかっている新刊書を出し続けても、やがてバブルが崩壊するだけ--。メディアのあり方を、経済活動のみに収斂する危険性を憂える。
光文社新書 777円
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