過激?上品?「長崎新幹線」社長とデザイナーが議論 N700Sベースの新型車両が登場、2022秋運行開始

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一方、西九州新幹線に用いられる列車も6両編成だが、N700Sは機器装置を小型軽量化したことで、短編成化に伴う機器配置の変更が不要になった。したがって800系のように新たに車両を開発することに伴うコストがかからない。こうした理由から西九州新幹線にはN700Sを投入することになった。

とはいえ、独自性の強い列車をずらりとそろえるJR九州がN700Sをそのままのデザインで走らせるとは考えにくい。「みずほ」「さくら」として走る山陽・九州新幹線のN700系はJR西日本との共同デザインでありJR九州にしてはややおとなしめだが、今回は単独での導入であり他社に遠慮なくデザインできる。

頭を抱えた水戸岡氏

「2020年の5月から設計作業が始まり、2021年5月から車両製造を開始した」と笠戸事業所の三浦淳所長が明かす。JR九州、日立の設計チーム、そして水戸岡氏が加わり、膝を突き詰めて連日議論が重ねられた。しかし、その作業はこれまでのようにはいかなかった。

ギリギリまで性能を追求した技術の塊であるN700Sには「遊び」の部分が少ない。どこかに手を加えようとすると基本設計の変更が必要になる。「何か1つ足すと重量オーバー、何か1つ変えるとコストオーバー。これでは何もできない」と、水戸岡氏も頭を抱えた。

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