「のび太みたいな子」が有望だと言い切れるワケ 「かけがえのない一員」として認められている

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多様性への幅広い理解が大切な現代においては、何に対しても偏見を持たず、優しく認め合う姿勢がますます重要になってきます。のび太のような優しさは、まさに今の時代に求められていることでもあるのです。

「失敗すること、負けることを楽しめる」

人生に失敗はつきものです。たとえ優秀で性格が良く、どんなに人間関係に恵まれた人であっても、程度の差こそあれ失敗はつきまといます。

だからこそ私たちは「失敗を起こさない」という予防策を立てるより、「失敗したときの感情のコントロールの仕方」を訓練すべきなのです。そして、失敗をむしろ楽しめばよいのではないでしょうか。

これも、のび太が教えてくれた大きな教訓のひとつです。

『ドラえもんプラス(5)〈てんとう虫コミックス〉』(小学館)に「45年後……」というお話があります。

のび太は学校の裏山で、45年後ののび太(以下、「老年ののび太」)と出会います。懐かしい小学生時代をまた体験したいと思った老年ののび太が、ドラえもんに頼んでやってきたのです。彼の望みにより「入れかえロープ」で現在ののび太と体を入れ替えた老年ののび太は、野球に飛び入り参加をするものの三振やエラーばかりでジャイアンやスネ夫に責められてしまいます。また、自宅ではママに「宿題もしないで!!」といつも通り怒られます。しかし、老年ののび太はジャイアンたちに責められてもまったく怯まず、「アハハ、昔のとおりだ」と笑い、ママに対しては「若いなぁ……」と涙ぐみ、「もっとしかって!!」と喜びます。

現在を十分に満喫したのび太は、帰り際に「1つだけ教えておこう。きみはこれから何度もつまずく。でもそのたびに立ち直る強さも持ってるんだよ」という言葉を残して去っていくのでした。

この作品を読んだ私は、最初は不思議に思いました。老年ののび太は、なぜ活躍できないとわかっていたのに野球に飛び入り参加したのか?

それは、のび太に「失敗すること、負けることを楽しめる」という優れた長所があるからです。たとえ、自分のみじめな姿をみんなにさらして、笑われるだろうと予想していても、「それも人生の醍醐味」と広い心で捉えているからこそ、老年ののび太は野球に参加できたのです。

「失敗」や「負けること」を心ゆくまで楽しめる、老年ののび太。そんな彼の懐の深さに触れるとき、私は心から「人生って、辛くても、やっぱり温かいものだな」「こんな、かっこいい大人になりたいな」と思えるのです。

環境が複雑さを増し、なかなか先の見えない現代においては、これまでの常識が通用せず、試行錯誤や失敗を繰り返しながら進んでいかなければいけない場面も増えてくると思います。

そんなとき、のび太のように「失敗までも楽しむ」という精神を少しでも持つことができれば、一歩を踏み出す勇気につながるのではないでしょうか。

『ポケット版「のび太」という生きかた』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

このように、ダメな子と思われていたのび太には、数々の魅力的な長所があります。

ご紹介した「優しさ」や「失敗に挫けない心」は、これからを生きていく子どもたちにも、ぜひ持っていてほしい大事な要素の1つだといえるでしょう。

「わが子がのび太に似ていて心配」という親御さんの声を聞くことがありますが、見方を変えれば、将来有望な素晴らしい長所をたくさん持っているということなのです。

自分の人生や子育てで悩んだとき、壁にぶつかったときはぜひ、「のび太の生きかた」からヒントを見つけてみてはいかがでしょうか。

横山 泰行 富山大学名誉教授/ドラえもんアナリスト

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よこやま やすゆき / Yasuyuki Yokoyama

1942年岐阜県生まれ。1976年東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。フルブライト交換留学生(ペンシルベニア州立大学)。富山大学人間発達科学部名誉教授。生涯スポーツ専攻。教育学博士。ドラえもんアナリスト。登場人物が夢や悩みにどのように対応し、解決したかを考え、人生を豊かにする方法を模索する「ドラえもん学」を研究。1999年、富山大学にて単位認定のない自由参加型ゼミ「ドラえもんの世界」を開講。ドラえもんの誕生日である同年9月3日には、ホームページ「ドラえもん学コロキアム」を開設し、「ドラえもん学」を宣言。2004年「ドラえもん文庫」を開設。

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