巨大ターミナル「新宿」を迷路駅にした数奇な歴史

古くからにぎわった東口、浄水場だった西口

多くの人でにぎわう新宿駅東口(写真:Ryuji/PIXTA)

1日の利用者数が300万人を超える新宿駅。そんな巨大駅は、歴史的な経緯から主に東側に開発リソースが注ぎ込まれてきた。

江戸時代に宿場町の「内藤新宿」としてにぎわったのは、現在の新宿3丁目付近。明治・大正期には東京市電(後の東京都電)が都心部から延びてきたが、昭和に入っても元私鉄(西武軌道)の都電14系統を除けば、新宿駅の東側で路線は終わっていた。令和の現在からは想像できないことだが、新宿駅東口が東京の端といえる状態だった。

なぜなら、新宿駅西側には淀橋浄水場と大蔵省専売局(現・JT)の工場が立地していたからだ。専売局の工場は戦前の1936年に移転したが、1898年に稼働した淀橋浄水場は戦後も都民の水がめとして機能した。浄水場なくして東京都民の生活は成り立たない。このため移転には時間を要し、新宿駅西口はほぼ手付かずのまま戦後を迎えた。

新宿駅の開業は1885年

新宿駅は、上野駅をターミナルに東北・北関東一円に路線網を広げた日本鉄道(東北本線や常磐線などを建設)によって1885年に開業した。駅の開設によって、街の中心軸は内藤新宿から駅側へと引き寄せられていく。

日本鉄道は、2021年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』の主人公、渋沢栄一が開業に大きな役割を果たしている。同鉄道は上野駅―高崎駅間や大宮駅から分岐して東北地方へ延びる線路がメインルートだった。これは、明治新政府が掲げた殖産興業というスローガンにのっとっている。

それまで不毛の地とされてきた北関東や東北地方は、殖産興業により開拓されていった。製糸業や農業が盛んになり、生産された工業製品・農産品は鉄道で東京まで運ばれていく。それに日本鉄道が一役買ったわけだが、特に上州で生産される生糸を迅速かつ大量に運ぶことが主たる使命にもなっていた。

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