テレビ朝日「視聴率トップ」目前も稼ぎが鈍いわけ コア視聴率は劣等生、日テレと広告収入に格差

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コア視聴率が重視される背景には、スポンサーの意向が大きく関わっている。多くの広告主は、消費意欲が旺盛で今後も顧客となる可能性が高い属性へ広告出稿を行いたい。そうした若年層がどれだけ視聴しているかを測る指標として、コア視聴率が用いられているのだ。

コア視聴率が高ければ、世帯視聴率や個人視聴率が低くとも、多くの広告出稿が集まるケースがあり、テレビ局はこの指標を無視できなくなりつつある。逆に59歳以上の高年齢層が多く視聴する番組は、たとえ個人視聴率が高かったとしても、ターゲットとしたいユーザーの視聴が少ないことから広告主視点では魅力が見劣りする。

コア視聴率では日テレ、TBSに劣後

このコア視聴率を踏まえると、テレビ朝日は立場が一転してしまう。TBSが導入するコア視聴率(4~49歳の男女)では、日本テレビが不動の1位、それに次ぐのがフジテレビだ。一方、テレビ朝日はTBSと同率の3位に甘んじている。単独4位に転落する時間帯もあり、若年層の取り込みという部分では厳しい現実を突きつけられている。

コア視聴率を指標にすることで、若年層・ファミリー層向けの番組が増え、コア視聴率が上がるという循環もある。そのため、日本テレビやTBS、フジテレビはコア視聴率を指標として大々的に用いるなど、そうした年齢層の取り込みに必死だ。

一方、テレビ朝日はそうした戦略とは一線を画す。若年層などと比べてスポンサーからの需要が少ない高齢者層に対して、「アクティブシニアが含まれる50歳以上は全人口の半分以上を占める。ここもビジネスゾーンとして排除しない」(早河会長)と、他社との違いを明確にする。あるテレビ朝日関係者も「13~49歳だけを重要視するテレビ局もあるが、(高齢者含めた)世帯までしっかり取り込むという方針だ」と語る。

1社だけ異なる戦略をとり、視聴率トップを狙うテレビ朝日。多様な指標が用いられ、単純な視聴率が広告収益に直結しなくなった今、全年齢層をターゲットにする戦略は吉と出るのか。スポンサーへの吸引力を含めた戦略も求められている。

井上 昌也 東洋経済 記者

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いのうえ まさや / Masaya Inoue

慶應義塾大学法学部政治学科卒業、同大メディア・コミュニケーション研究所修了。2019年東洋経済新報社に入社。現在はテレビ業界や動画配信、エンタメなどを担当。趣味は演劇鑑賞、スポーツ観戦。

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