政権の最重要人事・パウエルFRB議長再任の顛末 政策の安定性とFRBの政治的独立性を優先した

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バイデン大統領はパウエルFRB議長続投を発表Source: Bloomberg

大統領の決定を巡るこの記事は、人選プロセスに詳しい6人余りの関係者とのインタビューに基づいており、そのプロセスは昨年11月の大統領選でのバイデン氏勝利よりも前の時点で本質的に始まっていた。事情に詳しい政権高官の1人の話では、同氏は自身が当選した場合、FRB議長が最も重要な人事の1つになると認識していた。

ただし、バイデン大統領の検討に時間がかかった上に、大統領の経済的優先課題に関する議会の交渉長期化もあって、決定はずれ込んだ。複数の関係者は大統領の非公開の検討過程について、匿名を条件に明らかにした。

米金融当局が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に非常に迅速かつ積極的に対応したことで、ホワイトハウスの大統領側近の多くはFRB議長を交代させることにほとんど利点はないとみていた。

バイデン大統領は22日の発表に当たり、決定から「苦々しい党派性」を排したかったと述べた。なおパウエル氏には上院共和党議員の広範な支持があるため、民主党リベラル派議員の一部の造反があっても、同氏の指名承認に支障はないという事情もある。

FRB首脳人事の議論は最側近グループに限定

大統領が決定に至るまで、FRB首脳人事の議論はクレイン大統領首席補佐官とイエレン財務長官、ディース国家経済会議(NEC)委員長、リケッティ大統領顧問らの最側近グループに限定された。大統領とパウエル、ブレイナード両氏との面談に同席したのはディース氏だけだった。 

バイデン大統領と政権の経済チームはFRB議長候補についての議論に何時間も費やした。大統領執務室を離れた所では、NECや大統領経済諮問委員会(CEA)、財務省の当局者の間で広範な話し合いが行われ、その多くはパウエル、ブレイナード両氏の組み合わせで連邦準備制度を率いることを支持した。

イエレン長官は夏の時点でホワイトハウスの大統領側近に対し、パウエル氏再任を支持する考えを伝えていた。

バイデン大統領は19日、感謝祭を前に行った七面鳥の「恩赦式」に臨んだ後、パウエル氏とブレイナード氏に電話し、それぞれ議長続投と副議長指名の決定を通知した。ブレイナード氏は、来年1月が任期満了のクラリダ副議長の後任となる。

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