20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学 集中講義 ティナ・シーリグ著/高遠裕子訳 ~起業家精神こそ閉塞感打破のカテになる

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20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学 集中講義 ティナ・シーリグ著/高遠裕子訳 ~起業家精神こそ閉塞感打破のカテになる

評者 黒田康史 YSコンサルティング代表

 最近の日本は政治、経済、外交にとどまらず、どの分野も閉塞感でいっぱいだ。しかし、グローバル化の波が押し寄せ、変化が激しくなり、不確実性がますます高まっている今こそ、あらゆる場面で「起業家精神」が必要なことは、本書からも明らかだ。

本書には、起業家精神の本場シリコンバレーの英知が、豊富な起業家の事例やユニークな演習とともにコンパクトにまとめられており、読者に元気と勇気を与えてくれる。

常識を疑い、物事を新鮮な目で見る、失敗を恐れず新しいことをどんどん試す、失敗から学ぶ、他人の失敗を評価する、他人と違うことをやる、他人と違うことを誇りに思う、自分で試行錯誤しながら新しい道を切り開く……。これらはすべて口で言うのは簡単だが、いざ実行となると難しい。

だが、このまま手をこまぬいていると、やがて日本も三流国になりさがってしまうだろう。救いは、本書が日本でもよく売れているという事実だ。個人レベルでは危機意識が高まっている証拠と理解したい。問題は「実行力」だ。

これには、本書を読んだ一人ひとりが、どんな小さなことでもいいからまずは自分なりの起業家精神を実践してみることが大切だろう。これならどんな場面でも可能だ。たとえば、若者は昨今の就職難を嘆くより、これを好機とばかりに世界に積極的に飛び出してさまざまな経験を積むことだ。著者によれば、あらゆる経験があとで役立つし、回り道がかえってよい場合もある。そもそも今の時代、キャリアなんて計画通りうまくいくはずがない。

あらゆる場面で、皆が少しでも本書の説く起業家精神の本質を理解し、行動に移せれば、日本の未来は明るい。

Tina Seelig
米スタンフォード大学工学部に所属するアントレプレナー・センター、スタンフォード・テクノロジー・ベンチャー・プログラムのエグゼクティブ・ディレクター。スタンフォード大学医学部で神経科学の博士号を取得。

阪急コミュニケーションズ 1470円 232ページ

  

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