超ハイスペック男性「婚活2年半」でズタボロの訳 体験して感じた婚活市場「女性上位」の実態

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──いびつさに嫌気が差し、結婚そのものから離れていく人を、業界が自ら生み出している側面は?

ありますね、僕が実際そうですから。こんな目に遭うんやったらええわ。料理もできるし、週末の釣りは楽しいし、老後もたぶん何とかなる。企業は貪欲に利益を追求する組織なので、今後は一度撤退した人、シニア婚や再婚市場、面倒くさがって参入すらしてこなかった人などを対象に、サービスを広げていくはずです。最近はオタク向け婚活サービスなんかも始まりましたし。

ただしメインの市場は、下手をすると女性嫌悪の男性を量産するだけの、今の市場であることに変わりない。僕のツイッターに寄せられる反応を見ていると、男性たちが顔を引きつらせ、絶句している姿がハッキリと目に浮かぶ。

実は、読んでモヤッとさせようと、わざとそういう書き方をしています。読んで共感でも反感でも怒りでも、何でもいいので婚活というビジネス空間、そして自分の行動を変えるきっかけになればと。

「身のほどを知れ」と説教される

──今の婚活市場、行くところまで行って破綻したほうがいいと?

『婚活戦略 - 商品化する男女と市場の力学』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトへジャンプします)

そうしないと、この状況は変わらないと思う。婚活を考え直さなきゃいけないなら、自壊させるのもソリューションの1つではないか。未婚化・晩婚化に歯止めがかからず、みんな行き詰まっているのに、出てくるのは「身の程を知れ」の説教。なぜえり好みしちゃ駄目なのか? 自分の人生も人格も全否定されているように感じる。女性だって同じ思いでしょう。

それでも、行き詰まった先に、現状を変える道があると思う。極端な話、リファインされたお見合い結婚への回帰。もしくは、少子化を何とかしたい国の責任で制度設計して、それこそAIマッチングで強制結婚させる社会とか。

その対極は、結婚にとらわれず男女が好きに生きることを肯定し、少子化を労働力確保と福祉の問題として対応し直す制度設計を目指すこと。こういう選択を迫られる地点まで行かないと、社会は変わらない。今回、それを加速させるために、あえてあおり気味で書きました。

中村 陽子 東洋経済 記者

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なかむら ようこ / Yoko Nakamura

『週刊東洋経済』編集部記者

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