月6.8万円負担増!介護のお金「爆上がり」の悲劇 全国27万人がターゲットに
「この自己負担額の上限も上の表のとおり引き上げられました。特に影響が大きいのは、在宅で介護を受けている人。今まで4万4000円以上なら還付を受けられたのに、収入によっては倍以上も払わなければいけなくなった。それにより週3回通っていたデイサービスを2回に減らすとか、ヘルパーの利用を控える人が出てくるおそれもあります」
前出・田中さんは、在宅介護を担う家族への影響を懸念している。
「コロナ以降、デイサービスやショートステイの利用控えが起きています。一方、訪問介護や訪問看護の利用は増えているのですが、ヘルパーが見てくれるとはいえ毎日ではありませんし、介護を担う家族はなかなか休めるものではないのが現実。肉体的なものだけでなく精神的な疲労もたまっていきます。そうして介護負担が重くなっているところへ追い打ちをかけるように、8月からは金銭的な負担ものしかかることになった」
コロナ禍で生活が苦しくなる人は後を絶たない。なぜ今、負担増の施策に次々と打って出るのだろうか? 田中さんが続ける。
「介護費用の負担増に関して複数の案が議題に上がっていましたが、時期尚早と見送られた結果、今回は比較的手をつけやすい『補足給付』の見直しが行われました。ただ、生活への不安が増していく中では、コロナ収束まで一部の負担増を保留する判断も必要ではないかと思います」
一方、結城教授は国の狙いをこう読み解く。
「今回の改正は、“貯金があるなら、それを食いつぶしてから公的サービスを利用してください”という国からのメッセージ。人口に占める高齢者の割合が30%を超える中、医療や介護などの社会保障費は膨らみ続けています。若い世代が支払う介護保険料もどんどん上がっていく。そんな中で“高齢者の負担も増やして痛みを分かち合っていますよ”という、現役世代に向けたアピールの要素が大きいと思います」(結城教授)
660万人に影響の恐ろしい計画も
厚生労働省によれば、「補足給付」の見直しの対象者は約27万人に上る。こうした介護の負担増の動きは今後、さらに強化されていく見通しだ。結城教授が政府による衝撃の計画を明かす。