トヨタ「RAV4」が"不憫な存在"から脱却できた理由 発売2年の通信簿 振り返って見えたヒット要因

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コロナ禍という逆風の中でも、前年の勢いをキープできたのだ。ちなみに、2021年の前半も月間販売ランキングで9~18位で推移。1~6月の累積では13位(2万8383台)という前年を上回る好成績をキープしている。

デビューから2年の成績を振り返れば、現行RAV4の日本復活は大成功だ。RAV4は、立派なヒットモデルになったのだ。日本と海外の間にあったギャップは、現行世代でようやく解消されたと言える。

ライバル不在という意外な好材料

現行RAV4の成功の理由は、どこにあるのか。大前提としてあるのは、魅力あるクルマに仕上がっていることだ。アグレッシブなルックスが、最大の成功要因だろう。もちろん、SUVブームという追い風もヒットの理由のひとつだが、意外にも強力なライバルがいなかったことも好材料だったと言える。

RAV4と同クラスのライバルは、ホンダ「CR-V」、日産「エクストレイル」、マツダ「CX-5」、トヨタ「ハリアー」が挙げられる。

「ハリアー」は「RAV4」と基本的なメカニズムを共有する(写真:トヨタ自動車)

しかし、エクストレイルは2013年発売で新鮮さはなく、CX-5も2017年発売と需要は一巡した状態。ハリアーは翌2020年にフルモデルチェンジを控えたモデル末期で、新型RAV4のライバルにはなりえない。

アメリカでRAV4と激戦を繰り広げているCR-Vの現行モデルは、日本では2018年8月の発売でもっともRAV4と近いが、これが不発に終わった。2018年の年間ランキングは、なんと51位以下の圏外。2019年も43位(1万3041台)で、RAV4を脅かす存在とはなれなかったのだ。

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ある意味、SUVブームの追い風の中をライバル不在で駆け抜けた。それがRAV4の過去2年であったようだ。

本来であれば、CR-Vがもっと売れてRAV4と競争になると面白かったはず。そうなればRAV4の売り上げは、さらに伸びたのではないだろうか。強力なライバルがいるほうが売り上げは伸びる、自動車の販売ではそんな現象がよく起きるのだ。

どちらにせよ、RAV4のライバル不在はもう少し続く。次の戦いはエクストレイルやCX-5、CR-Vの新世代が登場する2022~2025年ごろだろう。それまでは、堅調に売れてゆくのではないだろうか。そして、もう誰もRAV4のことを「不憫な存在」と思うことはなくなるだろう。

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鈴木 ケンイチ モータージャーナリスト 

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すずき けんいち / Kenichi Suzuki

1966年生まれ。茨城県出身。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。レース経験あり。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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