トヨタ「RAV4」が"不憫な存在"から脱却できた理由 発売2年の通信簿 振り返って見えたヒット要因

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現行モデルが登場する前の2017年末までに、RAV4は世界で累計約812万台もの台数を販売している。初代がデビューした1994年から2017年までの23年間の年間平均は、約35万台だ。

実情としては、右肩上がりで販売を伸ばしていたこともあり、2017年は年間80万台を販売。アメリカだけで約41万台を売り、「アメリカで最も売れたSUV」「トヨタ車で最も売れたクルマ」となった。RAV4は、世界市場ではこれ以上ないほどの大成功を収めていたのだ。

世界では成功していたのに日本では不発。トヨタとしても、忸怩たる思いがあったに違いない。現行RAV4には、トヨタにとって捲土重来(けんどちょうらい)の願いが込められていたはずだ。

「見てよし、走ってよし、使ってよし」の現行モデル

そんな現行RAV4の最大の特徴は、デザインにあるだろう。アドベンチャーを期待させる「ワクワクドキドキ感」を重視したというルックスは、力強くインパクトがある。

第4世代「RAV4」。写真はオフロードテイストを強めた「Adventure」(写真:トヨタ自動車)

中身は、「カムリ」や「ハリアー」と同様の評判のよいTNGAのGA-Kプラットフォームを採用し、2.0リッターのガソリンエンジンと、2.5リッターに電気モーターを組み合わせたハイブリッドの2種類をラインナップする。4WDシステムが3種類も用意され、オフロードの走りに注力されていることも特徴だ。

荷室も広く、実用性は高い。価格は約260万~380万円。見てよし、走ってよし、使ってよしという、気合の入った内容だといえる。

「Adventure」のインテリア(写真:トヨタ自動車)

では、実際の販売成績はどうであったのか。現行モデルの日本での発売は、2019年4月10日。そして、この月の販売ランキング(自販連調べ・軽自動車は除く)で、RAV4はさっそく22位(3136台)にランクインした。

そして、翌5月には7位(6817台)に順位を上げる。これが現行RAV4の最高順位で、この月のトヨタSUVの中ではトップの成績だ。

その後は順位を落とすものの、12月まで8~14位を推移。2019年の年間ランキングでは16位(5万3965台)を記録する。年間ランキングでRAV4の上を見てみると、トヨタのSUVでは「C-HR」が15位(5万5677台)であった。

「C-HR」は居住性よりもデザインを重視したSUV(写真:トヨタ自動車)

4月発売で、1~3月には販売していなかったにもかかわらず、RAV4がC-HRに肉薄できたことは、立派な成績と言えるだろう。

そして、翌2020年は年間を通して、月間販売ランキング11~16位をキープ。年間でも15位(5万4848台)を記録する。

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