先生は「YouTubeすらアクセスできない」は本当か 禁止一辺倒の管理では信頼は高まらない

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確かに警戒するべき問題だが、さすがに安易にアップする人はそういない。それに、児童生徒向けもそうだが、禁止するよりも、賢い使い方をしっかり学んでもらうことが大切だ。禁止一辺倒ではなく、注意点などを周知、研修することが先ではないか。また、2点目と同様で、問題行動には処罰などを行えるので、禁止を上乗せする必要性は低い。

最後となる第4に、ルールを変えるのが面倒だから、という理由だ。ひょっとすると、これがいちばん大きいのかもしれない。

妹尾氏が考えるYouTubeが禁止の理由
1. 動画の視聴やアップロード・配信は、業務上必要ない、業務と関連がない、と教育委員会が捉えている可能性があること
2. 業務と関係ない動画視聴などで、サボる教職員がいるという懸念があること
3. 教職員に自由にネット利用を認めると、個人情報や機密情報の漏洩、著作権侵害など問題を起こしかねないから
4. ルールを変えるのが面倒

教育委員会に対する不信につながる場合も

禁止一辺倒の姿勢では、根本的な問題は解決しないどころか、むしろ別の問題を増やす。

私がYouTube禁止などで、いちばん大きな問題だと思うのは、「教育委員会は教職員のことを信頼していません」あるいは「教育委員会は学校現場の苦労や創意工夫にあまり関心はありません」というメッセージになりかねないことだ。

つまり、教育委員会と学校(教職員)との信頼関係に亀裂が生じてしまっている危険性を心配している。

この手の禁止がなくても、教育委員会からさまざまな指示や文書が届くたびに、教職員からは「教育委員会は学校現場のことをわかっていない(わかろうとしていない)」という声がたびたび聞こえてくる。そして、教育委員会に言っても無駄だからといって、現状を変えることを諦めてしまう教職員も少なくない。不信は無気力につながる。

子どもたちに主体性や問題解決力、情報活用力などが大事だといっても、大人の側がこれでは、うまくいくはずがない。

(注記のない写真:iStock)

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。
妹尾 昌俊 一般社団法人ライフ&ワーク代表理事、OCC教育テック大学院大学 教授

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せのお まさとし / Masatoshi Senoo

徳島県出身。野村総合研究所を経て、2016年に独立。全国各地の教育現場を訪れて講演、研修、コンサルティングなどを手がけている。学校業務改善アドバイザー(文部科学省委嘱のほか、埼玉県、横浜市、高知県等)、中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」委員、スポーツ庁、文化庁において、部活動のあり方に関するガイドラインをつくる有識者会議の委員も務めた。Yahoo!ニュースオーサー。主な著書に『校長先生、教頭先生、そのお悩み解決できます!』『先生を、死なせない。』(ともに教育開発研究所)、『教師崩壊』『教師と学校の失敗学』(ともにPHP研究所)、『学校をおもしろくする思考法』『変わる学校、変わらない学校』(ともに学事出版)など多数。5人の子育て中。

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