最初の5分で勉強をやる気にさせる「つかみ」テク 東大生が伝授、日常生活と勉強のつながりが大切

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

だからラブレターを書くときには「あなたを想っています」と書いたほうが、「想い」が伝わりやすいのではないでしょうか。こういう話をすると漢字の面白さが伝わりますし、「だから漢字って大事なんだよ」と話せば多くの子に刺さると思います。

僕はよく「『思』とか『想』を使った熟語を思いつく限り考えてみよう!」という話もします。そうすると、「思」と「想」の使い方・どんな言葉になることが多いのかがわかり、語彙力にもつながっていきます。もっと言えば「『思』と『想』、英語だとどう訳せると思う?」と、英語の勉強にもつなげてあげるのもいいと思います。英語では、どちらも「think」になりますが、逆に日本語の表現の多さに気づくこともできます。こういう広がりのある勉強法は皆さんにお勧めできるものですね。

また、古典についても面白い話があります。「古典なんか勉強して意味あります?」というのがTwitterでも話題になっていた時期がありましたが、古典を教える先生としては、これに対する回答を用意することはとても難しいのではないでしょうか。

でもやっぱり、古典単語って現代の日本語にも大きな影響を与えているんですよね。例えば、物事が終わるときに「けりをつける」という言葉を使うことがあります。この「けり」って、いったいどういう意味なのか、皆さんは知っていますか?

これは実は、キックという意味の「蹴り」ではないんです。

古典を勉強したことがある人なら、助動詞で「けり」という言葉があるのは知っているはず。古典の勉強でもよく、文章の中には、「なりにけり」のように、言葉の終わりに「けり」をつけることで「文章の終わり」を示しているものがあったはずです。

実は、今でもその名残で「けり=終わり」という意味で使われていて、「けりをつける」というのは「文章の終わりをつける」や「結末をつける」という意味になるのです。

このように、つかみとして古典単語が今でも残っている例を話すというのは有効だと思います。ほかにも「まめまめし」のように日常生活では使いませんが、「まめな人」というようにまじめという意味で今でも使う場合がありますよね。こんなふうに古典単語をフックにするというのはありだと思います。

英語は「アートネイチャー」を使え!?

英語に興味を持ってもらうためには、僕らが普段いかに英語を使っているのかということを知ってもらうのがいちばんです。

日本という国は、英語圏でもないのにたくさんのカタカナ語が使われていて、ほかの国では考えられないほど英語を使っています。「プロミス」みたいな企業の名前だったり、「ペデストリアンデッキ」みたいな建築物などの名称だったり。それに気づいてもらうのです。

日常生活で使われている英語を「つかみ」にするのもお勧め(写真:node / PIXTA)

例えば、アートネイチャーという企業は、増毛や育毛を専門に行っている会社です。かつらを作ったり、人工的な髪で増毛する会社なわけですが、何で会社名が「アートネイチャー」なのでしょうか。「アート」って芸術ですよね。ということは、直訳すると「芸術的な髪」なわけですが、でもこれってあんまりぴんときませんよね。「アートネイチャー」ってどういう意味だと思いますか?

実はアートって、「芸術」という意味だけじゃないんです。アーティストって、絵を描いている人以外にも、本を書く人もカメラマンも、またはフィギュアスケートの選手を「氷上のアーティスト」と呼ぶこともありますよね。アートは、芸術や美的価値という意味のほかにも「自然の模倣」「人が行うことすべて」「人為」などの意味もあります。「自然=ネイチャー」に対する反対語が「アート」なのです。

だから、「アートネイチャー」は相反する2つの言葉をくっつけたものであり、「人工で自然なものを作り出す」というのが正しい訳になります。髪は自然なものですが、それを人工の力で自然なものにする……そう解釈することもできます。もちろん、これは僕の想像が多分に含まれているわけですが、しかし「アート=芸術」だけじゃない!というのはしっかりと理解してもらう必要がありますよね。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事