大学受験それでも「英語民間試験」受けるべき理由 共通テストで導入断念も私立中心に活用広がる
従来の英語の入試では、4技能のうち「読む」「書く」「聞く」の実力を測ることはできるが、「話す」というスピーキング能力を測ることは難しかった。とくにディベートやCLIL科目など、英語で話すことが前提となる授業を大学に浸透させていくためにも、スピーキング能力を測ることのできる民間試験を活用することが最善と考えたのだ。
さらに立教大学では、今年から一般入試の仕組みも大きく変えた。同じ学科を最大5回受験(文学部は最大6回、理学部は最大2回)できるようにし、学部・学科の併願の組み合わせを柔軟にしたのである。極端に言えば、5試験日で毎日、経済学部経済学科を受けることができるようになったのだ。また、英語では共通テストと民間試験で成績のよいほうが合否判定に使われるなど、他大学とも併願しやすく、立教大学を第1志望とする受験生にもチャンスが広がるという入試設計になっている。
では、こうした入試改革を行う中で、今回の共通テストでの民間試験導入見送りについては、どのような受け止め方をしているのか。外部から見れば、正直、はしごを外された感があるように思われるが、和田氏はこう語る。
「日本の若者の語学力がアジア圏の中でも低下しているといわれている中で、今回の導入見送りは非常に残念に思っています。実は、もともと私たちは、英語の試験で共通テストを利用するつもりはありませんでした。民間試験で実力を測ればよかったからです。しかし、共通テストでの民間試験導入が見送られたことで、国公立併願の受験生や、地方の受験生が立教を受験できなくなってしまう。そこで今年の一般入試では急きょ、共通テストを利用できるように変えざるをえなかったという経緯があります」
つまり立教大学では、共通テストの活用については地方の受験生などに対し受験機会に差が生じにくいようにするための救済策という側面があった。実際、一般入試の受験生の約7割が共通テストと民間試験の両方を利用しており、共通テストのみの利用は2割強となっている。ちなみに民間試験では英検の活用がいちばん多かったという。
今後も立教大学は、独自色を強めるべく、カリキュラム改革を積極的に行っていく。前述の「グローバル」のほか、「リベラルアーツ」「リーダーシップ」といった3つの柱を軸に教育の仕組みを抜本的に変えることを推し進めている。
「とくに各大学では学部による専門分野の学びが中心となっていく中で、立教では幅広い学問を学ぶためのリベラルアーツを中心としたカリキュラム構成にしています。またリーダーシップ教育では、チームで活動するための基礎を学ぶプログラムを用意しており、こちらも立教独自のものとして高い評価を得ています。これからは世界に通用するグローバルな人材を育成していくためにも、首都圏だけでなく、地方のさまざまな受験生の掘り起こしもしていきたいと考えています」(和田氏)

















