「ワクチンパス」導入したフランス観光地の現在 大ダメージを受けていたが徐々に回復へ向かう

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コロナ禍前の2019年、イル・ド・フランス地域圏(パリ首都圏)には5000万人以上の旅行者が訪れていた。それがコロナ禍になって、観光セクターにおける50万人の雇用が大きく打撃を受けた。

イル・ド・フランス地域圏議会のヴァレリー・ペクレス議長は「厳しいロックダウン、夏場の国内旅行者の減少、ビジネス観光ゼロという三重苦の犠牲となったが、さまざまな施策を導入し観光業者への力強い支援に立ち上がっている」と述べる。

パリから南へ2時間ほど車で走った場所にある古城めぐりの場所として知られるロワール地方、ここでも観光客は増えている。

現地メディアのフランス・アンフォによると、フランス王フランソワ1世の城として有名なシャンボール城では、コロナ禍前の数には及ばないが、今夏は1日6000〜7000人の観光客が訪れているそうだ。「外国人、特にアメリカ人が少しずつ戻ってきている」(フレデリック・ブイユ副所長)という。

早急な導入が旅行者に対して追いつかず

世界一の観光立国であるフランスは、観光経済を少しでも動かしていきたいと目論むが、早急な衛生パスの導入において、当初調整がうまくいかなかった部分もあった。

フランス国民またはフランスの滞在許可証を持つ外国人以外の、海外でワクチン接種を受けた人に対する衛生パス交付をどのようにすべきか、という点である。

衛生パスは、フランス国内およびEU域内の移動を、念頭に置いてまずシステムが作られた。そのため、フランス国民とフランスの滞在許可証を所持する外国人に対してまず交付された。

しかしその結果、例えば国内のワクチン接種を早めに進めていたアメリカやイスラエルなどからの観光客が、すでに自国で欧州医薬品庁が指定するワクチンの接種を済ませ条件を満たしていても、衛生パスがないために美術館など観光施設に入れないという問題が起きたのだ。そのため各施設の入場には、ワクチン接種以外の証明(陰性証明)の取得が必要になってしまった。

現在は、外国のワクチン接種証明とフランスへの往復航空券など必要書類を当局指定のメールアドレスに送付すると、旅行者向けの衛生パスを当局がメールで交付するという措置が行われている。

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