「ワクチンパス」導入したフランス観光地の現在 大ダメージを受けていたが徐々に回復へ向かう

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治癒証明とは、過去11日前から6カ月前の間に、PCR検査または抗原検査に基づき新型コロナウイルスに感染していたことを示した証明である。この期間に一度新型コロナに感染した人は、抗体があるとみなされるからだ。

なお、ワクチン接種証明および陰性証明はEU共通のフォーマットになっており、例えばフランスからイタリアへ行った際にも、証明として同じQRコードが使える。

フランスは、入国に際してもワクチン接種者に対する制限の緩和を行っている。出発地の感染状況により、国と地域を程度の軽い場所から順に「グリーン」「オレンジ」「レッド」と分類。フランス入国する渡航者に対する、制限の強さを3段階に分けた。

グリーンからの入国の場合、ワクチン接種していれば、今まで必要だった出発72時間以内の陰性証明は必要なく、フランス到着時の検査や入国後の自主隔離もしなくてよい。ワクチン未接種の場合は、出発72時間以内の陰性証明がいる。

オレンジからの入国の場合、ワクチン接種済みであれば、グリーン同様に出発72時間以内の陰性証明やフランス到着時の検査、自主隔離は求められない。未接種の場合、出発72時間以内の陰性証明や入国後の検査は必要で、さらに7日間の自主隔離と隔離明けのPCR検査を受けなければならない。

レッドからの入国の場合も、ワクチン接種済みであれば、グリーンやオレンジと同じく検査などをする必要はない。一方で、未接種の場合は、出発48時間以内の陰性証明、入国後の検査に加え、10日間の自主隔離(順守状況の確認あり)がある。

観光客を呼び戻したいフランス

現在フランスでは、約7割が2回目のワクチン接種を終え、今年9月からは高齢者などを中心に3回目の接種を行うとマクロン大統領が発表した。ワクチン接種と衛生パスの導入を早急に進めると同時に、国内では各施設や自治体が観光プロモーションを打ったり、コロナ禍で閉じていた施設の再開が進められている。

パリを代表する百貨店ギャラリー・ラファイエット・パリ・オスマン店、ここは本来であれば多くの観光客で賑わっている場所である。それがコロナ禍になって海外からの買い物客が大きく落ち込み、店舗自体も閉鎖と再開を繰り返してきた。

今夏、同店はパリ観光会議局、パリ地方観光局、フランス観光開発機構といった公的機関と、ディズニーランド・パリやムーラン・ルージュといったパリおよびその近郊を代表する観光施設と協働して、パリ・モナムール(日本語で「パリ、私の愛しい人」という意味)という集客イベントを打った。「フランスや外国の観光客にとってパリがマストな観光地だと思えるあらゆるものをアピール」(ギャラリー・ラファイエットのニコラ・ウゼCEO)するためである。

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