就活って何だ--人事部長から学生へ 森健著 ~人事部長が採用の本音を語る、異色の就活本
「就活」というタイトルだが、よくある就活ノウハウ本ではない。著者の森氏は『文藝春秋』や『週刊文春』で経済記事や人物ルポを執筆するジャーナリスト。採用PR業界の人間ではなく、内容も文章も就活本とはかなり異なっている。
内容は著名企業の人事の責任者へのインタビューだ。基本的には語りおろし文体だが、随所に森氏による客観的な紹介文が入り、読みやすい。
学生は就活期間に膨大な量の企業情報に接するが、どんなに採用ホームページや入社案内を読んでも「わかった」という気分にはならないだろう。ところがこの本を読めば、内容が森氏によって料理されているので、取り上げられた15社のことが「わかった」気分になるのではないかと思う。
少なくとも採用担当者がどれほどの量(数万人)を相手にし、小論文を読み、面接で学生に接するかを知れば、その労力と誠実さを知ることはできる。また「この質問に対して、どういう答えをすれば良いのだろう」と先回りして考える学生を「かわいそう」と人事が考えていることもわかる。
学生にも有益だが、他社がどのような方法で選抜しているのかを聞く機会は少ないから、人事担当者が読んでも興味深く読めるだろう。
登場するのはJR東海、全日空、三井物産、資生堂、東京海上日動、三菱東京UFJ銀行、サントリー、明治製菓、武田薬品、NTTドコモ、バンダイ、フジテレビ、ベネッセ、電通、日立製作所。いずれも就職人気ランキングの上位企業ばかりである。
(HRプロ嘱託研究員:佃光博=東洋経済HRオンライン)
文春新書 定価:777円
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