巨人・ヤマダ電機の大胆不敵、狙うは有楽町と中国進出
家電量販業界初の年商2兆円乗せを2010年3月期に達成したヤマダ電機。今後も大量出店を続け、5年後をメドに3兆円突破を狙う巨人が目下取り組んでいる二つの戦略が、流通業界の注目を集めている。
一つは有楽町マリオンへの出店だ。西武有楽町店は12月25日に閉店予定で、マリオンを所有する朝日新聞社などは来春開店のテナントを求め、5月末にも入居希望企業対象に入札を実施。ヤマダもこれに参加する見通しだ。
26日の時点で、岡本潤専務は「入札はまだ検討中。有楽町出店に関して決定した事項はない」としている。が、入札参加の前提として3月に募られた入居趣意書は提出済みであることを踏まえると、5月末までに駆け込みで札を入れる可能性が高い。
有楽町にはビックカメラが看板店を構える。JR駅を挟み指呼の間にあるマリオンに出店すれば、09年秋の池袋新店、10年春の新宿東口店に続き、都内でのビック商圏崩しがさらに進むことになる。
ネックは賃料
ただ、進出には年30億円とされる高い賃料がネック。ヤマダの駅前大型店は年間に300億円以上を売り上げるが、それでも年商の1割近くを賃料に取られるのでは割に合わない。現実に入居するには、15億円程度まで賃料が下がることが条件になりそうだ。
マリオンには中国の家電量販最大手・蘇寧電器が買収したラオックスの名義で趣意書を提出しており、入札にも参加する見通し。またイオンも入札の意向を固めている。銀座の表玄関の大型物件をめぐるさや当てはこれからだ。
成否が注目されるもう一つの戦略は中国進出だ。