映像制作通じて「探究活動」する学校が増える理由 「ドキュメンタリー制作」で身に付く5つの力

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「ドキュメンタリーを制作する」授業の進め方

実際、授業はどのように進めればいいのか。全体のフローは、以下のとおりだ。

まず「STEP1 課題の設定」ではテーマを決め、完成形の仕様から撮影や編集の条件、発表形態を共有する。例えば、「コロナ禍の思い出を記録する」をテーマに5分の映像を制作し、できたものはプレゼンテーションとセットで、スクリーンで上映するなどだ。次に、撮影は2日を目安にインタビューをベースにまとめること、ナレーションはなし、BGMは本編の3分の1程度にするなどの条件も、あらかじめ設定しておく必要がある。写真や楽曲など、権利許諾の考え方も説明しておくとスムーズ。その後、3人1組などグループ編成を行って役割を分担、スケジュールを組んでいく。

「STEP2 情報の収集」では、各自が取材候補者をリサーチして話し合い、対象者として決定する。「STEP3 整理・分析」では、実際にどこでどんな人や物を撮影するのか、BGMはどこに入れるか、インタビューの問答を含めた「構成台本」を文字で書き起こす。それを基にインタビューの撮影、インタビューの文字起こしをして要点整理を行う。さらに内容に合わせたイメージカットの挿入を検討して撮影。「構成台本」に加筆修正しながらブラッシュアップしていく。

インタビューの問答を含めた「構成台本」を基にインタビューを撮影し、文字起こしをして要点の整理を行う(写真はぐんま国際アカデミー中等部・高等部 教諭 小田浩之氏提供)

「STEP4 まとめ・表現」では、まずすべての撮影素材(クリップ)を確認し、不必要なものを削除して、使用する素材をタイムラインに沿って並べる。最初から再生しながら、「構成台本」と照らし合わせて長さを調整したり、順番を入れ替える(iMovieでの編集方法は「『協働的な学び』動画作りで簡単に実践できる訳」を参照)。おおよその流れが決まったら、オープニングやエンディング、BGM、テロップを挿入する。全員で何度も試写をしながら編集の細部を詰めていく。

「STEP5 ふりかえり」ではクラス全員で発表を行う。場所は、講堂やホールなど非日常的な空間で実施し、映像のプロやゲスト審査員など先生以外の観客を呼べると緊張感が出ていいという。さらに映像制作の5つの力が身に付いたか、その意識づけができたかどうかの確認につながる内容を目指す。

「STEP5 ふりかえり」で完成したドキュメンタリーの発表を行う(写真はぐんま国際アカデミー中等部・高等部 教諭 小田浩之氏提供)

ドキュメンタリーのサンプルは、以下のとおり。「コロナ禍の思い出を記録する」をテーマに、TMS 東京映画映像学校の学生が大学生経営者に取材してまとめたものだ。

探究活動にドキュメンタリー制作がお勧めな理由

映像制作を通じた探究活動のイメージはできただろうか。実際、こうした映像制作を学校のカリキュラムに取り入れている学校もある。

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