高校生「日本を捨てて海外大学」が激増の理由 「超進学校」で、海外進学者が増加の背景とは?

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確かに、一条校を除き、多くのインターナショナルスクールは文部科学省の管轄外だ。だが実際は、新興のインターナショナルスクールに対して、教育委員会の指導が入るなど、無視できない存在であることは間違いない。制度として不安定な部分はあるものの、インターナショナルスクールを取り巻く状況や学生のニーズの変化は、確実に日本の教育機関にも大きなうねりとなって押し寄せ、変革をもたらしている。

その結果として、海外の大学への進学熱が高まり、一般的な日本の高等学校までそれが波及している、と村田さんはみている。

「かつてはインターナショナルスクールのみに開かれていた海外大学への進学ルートが、国際バカロレア認定校を始め、広く開かれるようになりました」

海外の大学への進学はこの先も増えていくだろう、と語る村田さん。
(撮影:今井康一)

「国際バカロレア認定を取得した日本の高等学校から、海外の大学に行く生徒の割合も年々増えていますね。また、国際バカロレア認定を取得していない学校でも、海外進学を目指した進路指導に力をいれる学校が増えています。例えば、14年に鳥取県に開校した青翔開智(せいしょうかいち)中学校・高等学校の1期生では4名、2期生で10名の卒業生が海外の大学に進学しています。かつては、海外の大学のアドミッションはインターナショナルスクール卒業生を主な対象としていましたが、13年に文科省の提言で閣議決定された『IB(国際バカロレア)200校計画』が教育現場全体に大きなインパクトを与えました」

それに伴い、旅行代理店では高校生が海外の大学のキャンパスツアーに参加できる企画が続々と発売されるなど、海外の大学で学ぶことを現実的に考えられる高校生が格段に増えた。

結果としてインターナショナルスクールではない、一般的な日本の高等学校においても、英語力はもちろんのこと、探求的に学ぶ力を育てる学習指導や、ボランティアの仕組みづくり、さらには海外の大学を卒業した後のキャリアパスの描き方まで一緒に考え、手厚くサポートするという風に変わってきたのだ。英語で内申書を書くだけではなく、先生たちの指導もより複雑になっている。

ケンブリッジ国際認定と、国際バカロレア認定の違いとは

そもそも、世界で通用する大学出願資格として存在しているものは2つある。1つは、1858年にイギリスにて誕生したケンブリッジ大学国際教育機構認定(以下、ケンブリッジ国際認定)、もう1つは1968年に国連が中心になって立ち上げたのが国際バカロレア認定(以下、国際バカロレア認定)だ。日本国内ではあまり耳慣れないケンブリッジ認定校だが、世界的にはケンブリッジ国際認定校の数は約1万校、国際バカロレア認定校の数は5400校といわれている。この2つのカリキュラムの大きな違いは何だろうか。

「私が20年に調べたところでは、日本国内でのケンブリッジ国際認定校は11校、国際バカロレア認定校は159校でした。大学受験という観点からいいますと、ケンブリッジ国際認定校では科目とテーマを選んで大学受験に使うことができます。つまり、不得意科目を大学受験で使わなくてよいというメリットがあります。一方、国際バカロレア認定はより探求的な学びを求められ、アートや奉仕活動といった、学科以外の項目も大学受験の審査に必要になってきます」

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