意外と古い、都内にある「新」が付く駅の歴史 既存駅の知名度か独自路線か…難しい駅の命名

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それ以前から、現在の東海道新幹線の高架線脇に土橋という橋があり、これに対する新しい橋として名づけられたようだ。現在の新橋駅から見ると、土橋のほうが距離的には近い。にもかかわらず新橋と命名されたのは、現在旧新橋停車場鉄道歴史展示室がある場所に、最初の新橋駅があったからだろう。たしかにここからは新橋は近い。

東京都内にはもう1つ、新橋を含む駅名がある。東京メトロ丸ノ内線の中野新橋で、こちらは近所に神田川が流れており、そこに架かる橋の名前が新橋だったことに由来している。

一方の新大久保は、それ以前から中央本線の大久保駅が存在しており、両者の距離は500mほどであったことから、新大久保と名付けたようだ。このように近くにある駅名をベースに新を加えるという命名法は、新の付く駅名としてもっともポピュラーであろう。

JR武蔵野線の新秋津駅と西武池袋線(筆者撮影)

これ以外に東京都内のJR路線で新の付く駅名を探すと、総武本線の新日本橋および新小岩、武蔵野線の新秋津と新小平、京葉線の新木場がある。いずれも既存の駅名に新を追加したものだ。

この中で個人的に気になったのは新小岩だ。東隣に小岩駅があり、開業はもちろん小岩のほうが早いのに、その後走りはじめた快速電車は小岩は通過し、新小岩に停車しているからである。

新しいほうがメジャー?

JR東日本が発表している2019年度の1日平均の乗車人員を見ると、新小岩は約7.7万人で59位なのに対し、小岩駅は約6.6万人で69位となっている。

新小岩駅は既存の「小岩駅」よりメジャーになった(筆者撮影)

両駅の間には新中川が流れており、新小岩は葛飾区、小岩は江戸川区と区も違う。ただし新小岩駅から南に向かうと江戸川区に入り、まもなく江戸川区役所や江戸川区立図書館が見えてくる。地理的にもこのあたりが江戸川区の中心で、小岩駅周辺は江戸川区の北端に位置する。

さらに小岩周辺には京成電鉄の京成小岩および江戸川という駅があるのに対し、新小岩周辺には他社線の駅がなく、駅を発着する路線バスの系統数が多い。これが乗車人員で小岩に差をつけ、快速停車駅に選ばれた理由ではないかと考えている。

武蔵野線は東京都内の2駅以外にも新の付く駅が多く、新三郷、新松戸、新八柱、もともとの地名だった新座がある。東西南北を付けた駅名も目立つ。

武蔵野線にこうした駅名が多いのは、首都圏の鉄道路線としては比較的新しく、すでに私鉄などが近くに駅を設けていたことに加え、郊外部を走るので知名度の高い地名を見つけることが難しかったためではないかと思っている。

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