乗ればわかる横浜ロープウェー「1000円」の真価 “移動もできる"展望アトラクションの活用法

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そもそも横浜の臨海部は、桜木町駅から廃線跡を活用した遊歩道の汽車道で渡る新港地区を中心に、パシフィコ横浜がある臨港パークから大さん橋、山下公園、そして「動く実物大ガンダム」で話題の山下ふ頭まで、幅広く散策するのにぴったりなエリアだ。

2021年春には、ヨットの帆をイメージしたデザインの建物が目を引くヨコハマグランドインターコンチネンタルホテルと温浴施設「万葉俱楽部」の間を隔てる海上に歩行者用の「女神橋」が完成した。従来は大回りして国際橋を渡らなくてはならなかったが、水辺の散策がより便利になった。

さらにロープウェーの運河パーク駅に隣接する商業施設の横浜ワールドポーターズや、大型クルーズ船が接岸できる新港ふ頭の横浜ハンマーヘッド、赤レンガ倉庫などをつなぐ歩行者デッキ「新港サークルウォーク」にエスカレーターの設置工事が完了。女神橋と合わせて周辺臨海部の歩行者動線の利便性が向上している。

「帰り」の利用も選択肢

また、徒歩でなくとも、レトロな外観の観光スポット周遊バス「あかいくつ」や連節バスの「ベイサイドブルー」といった公共交通であれば、1回220円(現金・ICカード)で手軽に移動ができる。このように徒歩による散策が中心で、移動手段への出費が少ないエリアにおいて、ロープウェーはどのような付加価値を示すのか。

ランドマークタワーを横目に空中を行く「ヨコハマ・エア・キャビン」のゴンドラ(記者撮影)

同社の松下克哉東京秘書室長は「桜木町から新港地区へは距離があり真夏の暑い時期には歩くのが大変だが、ロープウェーは冷房も効いており、わずか5分で移動できる。さらに先へ足を運ぶ際にぜひ利用していただきたい」と力を込める。さらに一方で「みなとみらいを満喫したあとに夜景も楽しめます」と復路の利用のアピールに余念がない。

ロープウェー事業を担当する竹原雄一さんも「私のおすすめは運河パークから桜木町へ向かう『帰り』」と話す。2つの駅を循環するゴンドラは外側にドアが付いているが「桜木町方向はドアがない全面の窓が観覧車やランドマークタワーの側を向くのでとくに眺めがいい」という。

所要時間は“たった5分”だが、桜木町駅と新港地区を隔てている車道や海の上を、あっという間に飛び越えられるメリットは大きい。さすがに普段使いは難しいが、歩き疲れたときや雨天で歩き回れないとき、横浜観光の最後にもう1つ思い出を作りたいときなど、さまざまな選択肢があるなかで活用できるのが常設都市型ロープウェーの楽しみ方といえそうだ。

橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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