まるで宮殿、海外「超豪華列車」の圧倒的贅沢さ スペインや南ア、「通」に人気のクルーズ列車

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南アフリカの鉄道といえば「ザ・ブルートレイン」の存在があまりにも大きく、後発であるロボスレイルの列車は、まだまだ広く知られているとはいいがたい。だが、欧米の鉄道愛好家の間では、その優雅で気品ある列車は有名で、鉄道発祥の国英国のレールファンには「ビクトリアの滝とロボスレイルを見ずして死ぬことなかれ……」とまで言わしめている。

ロボスレイルの創始者、ロハン・ボス氏(左)と筆者(写真:筆者提供)

ロボスレイルは1989年にロハン・ボス(Rohan Vos)氏が設立。南アフリカを中心にナミビア、ボツワナ、タンザニアなど近隣諸国を最長2週間かけて走る。

筆者が乗ったのはプレトリアとケープタウンの2泊3日ツアー。発着する駅はロボスレイルの専用駅「ビクトリアパーク駅」。黄金期の面影を再現した駅舎内には待合室をかねたラウンジがあり、乗車前のひとときをドリンクサービスで過ごすことになる。

20両編成に乗客は72人

列車編成は2両のラウンジカーと2両のダイニングカー、13両の客車、先頭には電源車やスタッフ専用車などの計20両編成だが、乗客は定員72人。最上級の部屋はロイヤル・スイートでバスタブ付のバスルームを備える。

ロボスレイルは乗客の国籍に合わせて駅に国旗がはためく。筆者が乗車した際は日の丸がはためいていた(筆者撮影)

筆者が乗車した客車は3室のデラックス(ツインルーム)があり、1両の定員はたったの6人。乗務員は1両あたり1~2人おり、乗客の世話をする。列車の先頭に立つのは1930年代製造の蒸気機関車「Pride of Africa」の重連。ホームには当日乗車する人の国籍に合わせた国旗が掲げられ、筆者が乗車した際は日の丸がはためいていた。

ケープタウンへのツアーでは途中にキンバリー金鉱山のツアーが組み込まれ、坑内の見学のほか、鉱山跡に走るオールドトラムも体験できる。車内のフリースペースのひとつである最後尾の展望サロン客車ではサバンナの動物も見られ、アフリカ大陸を走る鉄道を実感することができた。

世界各国を走る豪華列車を紹介してきたが、コロナ禍のご時世にあっては海外はおろか国内旅行も困難な日々が続いている。豪華列車に限らず、再び列車の旅を十分に楽しめる時がやってくることを待ちたい。なお、記事中で紹介した列車の現在の運行状況や乗車する場合の料金、予約方法などはコロナ禍による影響を受けている可能性もある。各列車の公式サイトなどで確認することをお勧めする。

南 正時 鉄道写真家

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みなみ・まさとき / Masatoki Minami

1946年福井県生まれ。アニメーターの大塚康生氏の影響を受けて、蒸気機関車の撮影に魅了され、鉄道を撮り続ける。71年に独立。新聞や鉄道・旅行雑誌にて撮影・執筆を行う。

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