着席列車の元祖「ホームライナー」、関東で消滅 3月ダイヤ改正で「湘南」など3つの列車が消える

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湘南ライナーの車両は、特急「踊り子」で使用されてきた185系に加え、1992年からは215系も加わり、2階建てとして可能な限り座席を増やした構造に特徴がある。このほか、中央線の特急「あずさ」の車両が使用された時期もあり、183系や189系に加え、「スーパーあずさ」のE351系も使用され、老朽化した国鉄形の183系や189系に代わってE257系が使用されたこともあった。また、おはようライナー新宿やホームライナー小田原では「スーパービュー踊り子」の251系も使用され、2020年に251系が引退したときはホームライナー小田原が最後の営業列車となった。

今回、湘南ライナーが特急「湘南」になるのに合わせて車両も代替わりし、185系や215系に代わって中央線で活躍したE257系をリニューアルして使用することになっているが、見方を変えると、E257系が戻ってくるという言い方もできてしまう。

湘南ライナーではサービス面でも個性があり、湘南ライナー、おはようライナー新宿とも上り列車の設定があったことで「ライナーセット券」が発売されていた。通常、ホームライナーでは乗車する都度、「ライナー券」(乗車整理券)の購入が必要だが、湘南ライナー、おはようライナー新宿では毎日利用する乗客のため、1カ月分のまとめ売りが行われていた。1カ月分をセットにしたものをライナーセット券として発売していたのだが、ライナーセット券の購入のために「みどりの窓口」には行列ができたという。

このほか、湘南ライナーでは車内販売があったほか、湘南新宿ライナーでは英会話教室などのカルチャー教室も短期間実施されていたのも珍しい。

JR北海道とJR東海では残る

JR東日本の管内では、新潟地区でもホームライナーが設定され、白新線方面の「らくらくトレイン村上」と信越本線方面の「らくらくトレイン信越」が運転されていた。今回のダイヤ改正でらくらくトレイン村上は廃止され、らくらくトレイン信越は全車指定席の快速「信越」となることで、JR東日本からホームライナーが消える。

JR西日本とJR九州でも過去にホームライナーの設定があり、JR西日本では阪和線の「はんわライナー」、大和路線(関西本線)の「やまとじライナー」、JR宝塚線(福知山線)の「ほくせつライナー」、JR京都線(東海道線)の「びわこライナー」があった。JR九州では福岡・宮崎・鹿児島地区では「さわやかライナー」や「ホームライナー」があったのだが、特急化や廃止などで、両社とも2011年3月までに消えている。

JR北海道の札幌地区や、JR東海の静岡・名古屋地区では引き続きホームライナーが運転されるが、首都圏のホームライナーは過去のものとなる。

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