着席列車の元祖「ホームライナー」、関東で消滅 3月ダイヤ改正で「湘南」など3つの列車が消える

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回送列車の有効活用として始まったホームライナーだが、後に登場した列車ではホームライナーのために新たに列車を設定していた。上野発の「ホームライナー大宮」も、北陸新幹線(長野新幹線)の開業で特急「あさま」が新幹線になると、ホームライナーのために列車を用意する形となり、回送列車の有効活用という考えは薄れている。

その後も首都圏のホームライナーも変化し、ホームライナー大宮は運転区間を延伸、東北本線方面の「ホームライナー古河」と高崎線方面の「ホームライナー鴻巣」となり、新宿発も加わって「大宮」の名前が消えたほか、総武線方面ではホームライナー津田沼に「ホームライナー千葉」が加わり、のちにホームライナー千葉にまとめられる。東海道線方面では「湘南新宿ライナー」に新宿発着が加わったが、2001年に「湘南新宿ライン」の運転が始まると名前が紛らわしくなり、翌年に「おはようライナー新宿」「ホームライナー小田原」と名前を改めている。また、中央線方面では2001年に名前を「中央ライナー」「青梅ライナー」に改めた。

ホームライナーの拡大と並行して、新幹線や特急列車が通勤で利用される時代となるのだが、さらに時代が進むとホームライナーは特急列車に格上げされ、逆に利用の少ない列車は廃止の方向に向かう。

首都圏では、まず1998年に常磐線の「ホームライナー土浦」が特急「フレッシュひたち」の一部となって消えた。2014年3月に「ホームライナー鴻巣」は特急「スワローあかぎ」となって消えたが、同時に「ホームライナー古河」も利用者の減少を理由に廃止され、ホームライナーの元祖に由来する列車が消えた。

2015年3月には横須賀線のおはようライナー逗子、ホームライナー逗子が消えたほか、2019年3月にはホームライナー千葉が廃止されて総武線方面のホームライナーが消えた。中央線では特急「はちおうじ」「おうめ」が運転を開始した代わりに中央ライナーと青梅ライナーが消え、首都圏では東海道線の「湘南ライナー」一族が残るだけとなっていた。

貨物線を走る「湘南ライナー」

今回消滅する湘南ライナーでは、列車によって走行路線や使用車両に違いがある。湘南ライナーは1988年3月に列車本数を増やしたが、東海道線の線路で列車を増やす余裕がなく、東海道線と並行する貨物線経由で運転された。同年7月から運転を開始した湘南新宿ライナーも貨物線や横須賀線の線路を走行し、現在ではおはようライナー新宿やホームライナー小田原のほか、相鉄線直通列車も新宿から羽沢横浜国大付近まで同じルートを走っている。

1993年からは上りの湘南ライナーが東京の地下駅に乗り入れるようになったが、これは横須賀線を経由したことで実現したものだ。あわせて藤沢駅の貨物線の線路のホームを新設してホームライナーの乗り場としたのも珍しく、翌年には茅ヶ崎にもホームを新設、この2駅ではホームライナーが運転されるときだけ使用されるホームがある。

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