アメリカ「ワクチン予約大量キャンセル」の真相

ワクチン配布の混乱ぶりはあぜんとするほどだ

ニューヨーク市ジャマイカ地区でワクチン接種を待つ人の列。バイデン政権は就任100日以内に1億回接種を目指すとしている (写真:Hiroko Masuike/The New York Times)

新型コロナウイルスのパンデミックで大量の死者が出続けるアメリカでは、保健当局がさらに切羽詰まった状況に追い込まれている。待望のワクチンが突如として品薄になり、その明確な原因もつかめていないからだ。

ワクチン配布の混乱ぶりはあぜんとするほどで、各地の当局者もいったいどれだけのワクチンが確保できるか把握できていない。そのため、アメリカ中の接種会場という接種会場で、接種予約が何千人という単位で取り消される事態となっている。

州からのワクチン供給が突然激減

サウスカロライナ州ビューフォート市の病院では6000人分の接種予約が取り消された。入荷予定だったワクチンのうち450回分しか届かなかったためだ。ハワイ州マウイ島の病院では1回目の接種予約5000人分が取り消されたうえに、1万5000人分の予約申し込みが保留となった。

サンフランシスコ市の保健局では1月中旬、同市へのワクチン配布量が前週に比べ激減したことから、一時はワクチン在庫が払底するとの見通しまで浮上した。ニューヨーク州のエリー郡でも先日、州からのワクチン供給量が急減したのを受けて接種予約が何千人とキャンセルされた。

なかでも切迫しているのはテキサス州だ。同州の新規感染は1日当たり平均で約2万人に到達。ワクチンが届かない状況で感染拡大を抑制できるのか、不安が高まっている。

なぜ、このような事態となったのか。原因究明にあたる保健当局を困惑させているのは、何百万回分ものワクチン在庫が未使用になっているという報告だ。アメリカ疾病対策センター(CDC)によると、1月22日朝の時点でファイザー/ビオンテックとモデルナのワクチン約3990万回分が州・地方自治体に配布済みとなっているのに対し、うち接種されたのは約1910万回分にとどまる。

それぞれ1億回分のワクチンを供給することでアメリカ政府と合意しているファイザーとモデルナは、両社合わせて週に1200万~1800万回分のワクチンを出荷できるよう増産を急いでいる。

このペースでワクチンが供給されるようになれば、就任から100日以内に1億回分の接種を行うとしたジョー・バイデン新大統領の公約は実現可能だ。保健当局には、未使用在庫を使ってワクチン接種ペースを上げる選択肢も残されている。

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