解約できない!マンション「サブリース」の罠 「サブリース新法」施行後も残された課題とは

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では、サブリース新法によって問題はすべて解決したのか。新法で規制されたのは、サブリース業者と契約を結ぶいわば「入口」の部分。だが、サブリースを解約しようとする「出口」でのトラブルは、積み残されたままだ。

とくに家賃収入が中心のアパートとは異なり、ローン返済途中でも頻繁に売却がなされるマンションにおいて、売却時にサブリースが解約できないことが問題となっている。

サブリース付きの物件は売却時の評価が低い。一般的に物件価格は年間の賃料を期待利回りで除した収益還元法で決まる。家賃が月10万円で期待利回りが5%なら、年間家賃収入120万円を5%で割った2400万円が目安となる。問題は、10万円で賃貸できる部屋をサブリース業者が9万円で借り上げている場合だ。オーナーの手取り家賃は9万円のため、収益還元法で割り戻した価格は2160万円と、家賃同様1割減になる。

サブリース付きの物件が割安になる背景には、金融機関のサブリースに対する評価が芳しくないこともある。業者は転貸先の入居者属性や家賃水準を開示しないため、部屋を反社会的勢力に貸し出されたり、突然家賃を減額されキャッシュフローが悪化し、収益還元法の前提が狂ったりするリスクがくすぶる。融資否決や減額要因になりかねず、物件の流動性(売りやすさ)に響く。こうした理由から、売却時にサブリースを解約しようとするオーナーは少なくない。

解約を渋る業者たち

ところが、サブリースの解約は極めて難しいのが実態だ。「家賃保証の売り文句につられて契約したものの、後で後悔するオーナーは少なくない。再販業者も購入に慎重で、市場で売れ残っているのはサブリース付きの物件ばかりだ」と、都内で投資用マンションの売買を行う業者は打ち明ける。

ある業者のサブリース契約書には、解約条件として「6ヵ月前までに書面で解約を通告すること」を設けている。別の業者の契約書には「違約金として賃料の半年分を支払えばすぐに解約できる」とある。一見容易に解約ができそうだが、落とし穴が潜んでいる。「契約書に記載がなくとも、解約には『正当事由』が必要だ」(投資用マンションの販売業者)。

契約書の文言を読む限り、容易に解約ができそうだが……(記者撮影)こちらのフォームではアパートやマンション運営の課題に関する情報をお待ちしております。

サブリースの解約を拒む業者は、2003年に下された最高裁判所の判例を盾にする。裁判の争点はサブリースの解約ではなく保証家賃減額だったが、最高裁が「サブリース業者は借地借家法で保護される」と認めたことで、正当事由が無い限りサブリース業者を追い出すことができなくなった。冒頭の男性のように、サブリースの解約をもぎとった例は少ない。

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