教育現場の連絡手段は令和時代でもやはり… ICT教育の情報収集は意欲的だが環境は未整備

こうしてみると、教育現場のICT活用の遅れというのは、Office関連ソフトの利用率の高さからみて先生の個人のスキルというよりも、職場環境としてのICTインフラの整備の遅れのように感じられる。Office関連ソフトが使えるのであれば、さらにテンプレートなどにより利用が簡単になるクラウドツールなどはさほど抵抗感がなく活用が進むのではないだろうか。
これからGIGAスクール構想により生徒1人1台体制が整い、校内のWi-Fi環境などが整備された場合には、管理職などの先生方も巻き込みながらメールやチャットといったコラボレーションツールの活用を促進させる取り組みも重要になってくるだろう。
個人のスキル磨きや情報収集にも積極的
実際、今回の調査では、現場の先生方が新たな取り組みに積極的なのも明らかになった。先生方個人のスキル磨きや教育業界の情報収集の実施の有無を確認した設問では、60.7%が行っていると回答。また今後、外部の研修なども受けるつもりがあるとする回答は、全体の68.5%にのぼった。

現在、どのようなスキル磨きや情報収集をしているか、フリーワードの回答を見てみると「授業研究」「学級経営」「指導力向上」「特別支援教育」など一般的な教育指導に関する内容と同時に、ICT教育にまつわる内容が多く寄せられている。書籍やWeb上でのICT活用の事例を研究するほか、オンライン授業やプログラミング研修などに参加しているという回答も多い。そのほか、以下のように個別のツールの活用法を学んでいるといった声も散見された。
・TeamsやGoogleのアカウントの配布を模索
・研究会などでZoomや遠隔授業に関するアプリを複数取り入れ試している
といったように、確かに、まだまだGIGAスクール構想自体の具体的な内容の啓発は必要と考えられるが、ICT教育に向ける先生方の興味関心は高く、情報収集や研修などに積極的に取り組んでいる様子がうかがえた。
(写真:iStock)
■2020年5月調査の記事
休校でわかった小中高オンライン学習の弱点
オンライン授業は教員の負担を増大させる?
GIGAスクール構想、現場認知度は約50%
■2020年12月調査の記事前編
「オンライン授業不要」5月調査より2倍に増加
制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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