「オンライン授業不要」5月調査の2倍に増加 「GIGAスクール構想」目的の啓蒙も急務か?

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当初2023年度を目指して進められてきたGIGAスクール構想だが、新型コロナウイルスの影響もあり、現在、2020年度中の整備を目指し、急ピッチで教育現場のデジタル化が進めれている。今年度も大半が過ぎた今、現場の状況・意識はどのように変わってきているのだろうか。東洋経済新報社では昨年5月に引き続き、同年12月にも全国600人の小・中・高の教員に向けた独自アンケートを実施した(12月4日実施:小学校教員300、中高教員300)。12月時点のアンケートのため、2021年1月7日に発表された1都3県における緊急事態宣言以降では「オンライン授業についての経験」の調査など変わっていくことを期待したいが、まずは新型コロナウイルス時代の中で現場でどのような意識の移り変わりがあったのか、そしてどのようなリアルな声が上がっているのかをアンケート結果から探ってみた。

まずは、IT環境の整備状況についてだ。5月と比較するとじわじわと整備が進んでいるようだ。5月の段階で、IT環境について「ほどほどに整備されている」から「すべて整備されている」とした選択は全体の66.5%。

12月のアンケ―ト結果では、同じ設問で71.5%に向上した。プログラミング研修に対応したという回答も5月の2.2%から3.7%に微増している。小中学校の義務教育では、今年は春休み前後から6月に入るまで休校措置が取られていた。当然、授業の遅れを取り戻すべく、また感染拡大防止策などイレギュラーな対応に奔走したことだろう。その中でGIGAスクール構想の前倒しに対応してきたはずだ。実質的なIT環境の整備などは来年以降本格化するものと考えられる。

「オンライン授業、現在はしていない」が3倍に

次に「オンライン授業についての経験」の調査結果をみると、「オンライン授業はしたことがないが、検討している」との回答数は5月と比較し増えてきている。と同時に目立つのが「オンライン授業をしたことがあるが、現在はしていない」との回答者が5月は5.7%であったのが、12月には14.5%と3倍近い数値となったことだ。

オンライン授業を経験しながら現在も続けているとした回答が半数以下に激減していることからも、5月の段階で実施されていたオンライン授業が継続していないことが読み取れる。

これは、オンライン授業実施の理由が、5月の段階では休校措置などに対応する緊急対応であったことが推測できる。そのため、休校が解除された段階でオンライン授業が継続して行われていないことがうかがえる。

本来のGIGAスクール構想では、オンライン授業の導入というのは、パンデミックや災害時対応だけが目的ではない。例えば、外国語の習得にネイティブと連携したり、校外学習のオンライン化など平時の授業の質の向上を目指している。現状では残念ながらその点が理解されていないと推測される。これから本格的にICT 環境が整備されてからオンライン授業が浸透していくことに期待したい。

「オンライン授業」実施形態はリアルタイム形式が増加

「オンライン授業の経験がある」回答者にその「内容・形態」を聞いたところ、増えてきているのはリアルタイム型の授業内容だ。指定教室から、もしくは教員自身がPCやタブレットからオンライン会議ツールを使って配信した形式は5月の場合44.4%であったものが、12月の調査段階では、55.7%にまで増えている。

一方、一部もしくはフルでのオンデマンド授業を行った割合は、5月の43.3%から36%まで数字を落とした。

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