プログラミング「理解ない先生」の巻き込み方 カギは「教員コミュニティー形成」と「振り返り」
「プログラミング必修化もGIGAスクール構想もそうですが、文部科学省は国語や算数と同じようにしっかり教えなくてはいけないというメッセージを伝え続けています。しかし、教育委員会や学校まで下りてくると、なぜか消極的になってしまうことがあります。必修化が決まった頃、拒絶はされないものの、同僚の先生や管理職の先生に『よくわからないから』と煙たい顔をされることがあったと聞きます。そうすると、いくら意欲を持つ先生でも、相談や指導案の提出がしづらくなってしまいますよね」
児童の反応の共有が不理解克服のコツ
そのような状態では、いくら「1人1台PC」の環境が整ったとしても、形だけの授業をして終わりということになりかねない。何せ、本連載の第2回、第3回でも紹介したように、文部科学省の「小学校プログラミング教育の手引」や学習指導要領では、学年も教科も時間数も規定されていないのだ。そんな事態に陥るのを回避するにはどうしたらいいのか。全国の教員・教育機関にプログラミング教育の研修や教材を提供するNPO法人「みんなのコード」の代表理事、利根川裕太氏は「子どもの反応を見せるのがいちばん」とアドバイスする。
「『みんなのコード』の研修にも、必修化するから仕方なく受けに来た、という先生は少なからずいます。そういう先生も、子どもがものすごい食いつきを見せて、頭を使って取り組んでいる様子を目の当たりにするとやる気を出します。とある熱心な先生は『子どもの姿が校内展開の何よりの推進力』と言っていました。とくに『いつも落ち着かない子が45分間しっかり座って取り組んだ』というのは非常に響きますね。教頭先生や校長先生が乗り気ではないという話は確かに多いんですが、授業での子どもの反応を見せると変わるようです」

慶應義塾大学経済学部卒業後、森ビルを経て、ラクスルへ。その後、特定非営利活動法人みんなのコード設立。著書に『先生のための小学校プログラミング教育がよくわかる本』(翔泳社、共著)、『なぜ、いま学校でプログラミングを学ぶのか-はじまる「プログラミング教育」必修化』(技術評論社、共著)がある
つまり、教科部会やブロック部会といった集まりと同じように、コミュニティーを形成していくことが効果的だということだ。それだけでなく、校内で1つの流行を生み出すというやり方もある。直接プログラミングの授業とは関係していないが、加藤准教授は興味深い事例を紹介してくれた。