26年前の未解決殺人「司法解剖」から迫る犯人像 残された人への「メッセージ」を聞くのが法医学
昭和、平成、令和にわたって40年以上、監察医・法医学者として1万体以上の検死、5千体以上の解剖を担当してきた杏林大学医学部名誉教授・佐藤喜宣氏は、ドラマ化もされた漫画『監察医 朝顔』の監修者でもある。
佐藤氏の著書『生きるための法医学 私へ届いた死者からの聲(こえ)』には、世間を震撼させた重大事件をはじめ、阪神・淡路大震災、東日本大震災、新型コロナ感染症、子ども虐待等、生死をみつめてきた法医学者だからこそ知り得た実体験エピソードが数多く収録されている。
本稿ではその中から昭和に起こった未解決事件「井の頭公園バラバラ殺人事件」を振り返る。
26年前の未解決事件
世間を震撼させた井の頭公園バラバラ殺人事件は、1994年4月23日に発覚しました。
被害者が付近に住んでいた男性(当時35歳)だったことは判明しているのですが、犯人も犯行動機も不明の未解決事件となっています。
特筆すべきは、死因特定につながる人体部分は、何ひとつ見つからなかったことです。
解剖によって死因を特定するためには、頭部と内臓を丹念に調べていく必要があります。被害者男性の手と足は発見されたのですが、ご遺体は損壊されていたため、首から上と体の中身は発見されませんでした。
しかも身元を特定するために必要となる指紋は、ハサミで切り取られ、見つかった身体部分は血抜きされた状態で、すべて22㎝という均等な長さに切りそろえられていたのです。
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