早期退職「働かない自分」と折り合いつける方法 「人生の長期休暇」は世間で認められるのか?

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要は人それぞれであり、周りの現時点の状況とご自身の現時点の状況という、双方「たまたま」今何をしているかは大した問題ではないということです。それよりも、ご自身が正解と思うゴールに向かって着実に進んでいることや、最終的にそのゴールと照らし合わせて「どこまで行けたか」のほうが大事です。「着実に進む」という作業にしても、ご自身にあったペースで進めばいいわけですから、周りと歩調や時間軸を合わせる必要はないのです。

さて、先ほど「小休憩」という言葉を使いましたが、無職や失業中とただの浪人さんが書かれている中で意図的にその言葉を使わせていただきました。

長いキャリアです。立ち止まることも、休憩も大事なのです。ましてやただの浪人さんの場合、今の時間を使ってボランティアをしたり運動をされたりしていますよね。素晴らしいことだと思います。空いた時間を使って、自分のためだけではなく、ボランティアという社会貢献までされているのですから。

仕事とは人生を形成する一部でしかなく、またただの浪人さん個人としてのアイデンティティーを形成する一部でしかありません。仕事に熱中できることも大切ですが、仕事以外で熱中できることをいくつ持てるかが、実りある人生を生きるうえでは大切だったりします。

ですから、現在は仕事を休んでいるだけで人生を休んでいるわけではない――。そう頭を切り替えましょう。

仕事以外のことで人生の幅を広げるチャンス

仕事だけが人生では決してありません。もちろん仕事をしないで人生を生きられるような方は非常にまれでしょうから、仕事との付き合いは今後も長く続くでしょう。そのように考えると、長距離マラソンであるキャリアを走り抜けるためには、自分に合ったペースを早めに把握し、応じた生き方・働き方をすることです。その過程で小休憩も必要でしょうし、取れるのであれば取るべきだとも思います。

繰り返しますが、最終的にどこまで行けるかが重要なのであり、現時点でどこにいるか、何をしているかは大した問題ではないのです。むしろ現在のような小休憩を取り、時間的余裕ができた今、今後のキャリアについて考えることも重要ですが、より実りある人生を生きるべく仕事以外の活動を充実させるチャンスです。

仕事と仕事以外の人生が充実していれば、双方にいい影響を与え合うことができます。今後仕事に復帰したときに、今まで以上にパフォーマンスを出すべく、今の時間を利用してどんどん人生の幅を広げてみてください。

今までとは違った景色が見えてきたり、違った出会いや人間関係の構築などを通じて、新たな自分の発見やキャリア感も変わる可能性もあります。それも、人としての成長なのだと思います。

ですから、現在の小休憩はただの浪人さんがただの浪人さんのペースで長いキャリア道を走り抜けるために必要なステップなのです。現在は長いキャリア道において小休憩をしており、仕事を休んでいるだけで、人生を休んでいるわけではないのです。

その言葉を胸に、ただの浪人さんが今ある時間を有効活用し、今後より実りある人生を歩まれるであろうことを応援しております。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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