太田光「オワコンと呼ばれるテレビの真の凄み」 なぜ俺はテレビの仕事にこだわりがあるのか

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で、話はもうひとつのトピックスに戻る。いまの時代のテレビのありさまでふたつ思うことがあるって言っていた、もうひとつのほうの話だ。それは、俺がかつて視聴者であった頃にわくわくしていた、歌ありコントありのバラエティ番組をやりたいという夢をあきらめちゃいないということ。

うちの事務所にはバラエティ番組の作家も所属しているから、一緒に企画書を作って関係者に提案したりもしているんだけど、現実はなかなか厳しくて実現はしない。そんな感じなのに、まったくもってあきらめないことが、自分でもちょっと驚きなんだけど、「見るな!」と言われても夢見てしまう性格って、50歳過ぎても変わらないんだなぁっていうね(笑)。

キョンキョンに勇気づけられたワケ

そんな俺でも、自分と同じ年のある人の行動には、かなり勇気づけられたりもした。その人の名は、キョンキョン。言わずと知れた、なんてたってアイドルな小泉今日子だ。

我々の世代にとってのキョンキョンは、超のつくアイドルだったんだけど、そんな彼女が2017年に『オールナイトニッポン』のパーソナリティを担当する。80年代にレギュラーパーソナリティとして活躍してた流れもあってのスペシャル番組だったんだけど、彼女の言動のあちこちが素晴らしかった。

まず、『名人長二』という落語を元ネタとする芝居をやると。その舞台の主演であり、企画、脚本、演出も担当している豊原(功補)さんがキョンキョンの『オールナイトニッポン』のラジオにも出て言うには、古今亭志ん生の『名人長二』が好きでカセットテープでよく聴いてた噺だと。その噺の原型を作ったのが、明治の天才落語家・三遊亭圓朝だったと語る。

もうね、そこからして落語好きからするとひっかかるわけ。まず、『名人長二』という噺が一切思い出せなかった。「あれ? 志ん生のネタなら俺も聴いたことあるはずだぞ?」って倉庫をひっくり返して探したら、『名人長二』が収められたテープが見つかったんだけど、再生するデッキがうちにはなかったっていうね(笑)。

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