学校制服「価格つり上げ」生むいびつな流通構造 愛知で学生服のカルテル、3社に排除措置命令

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他方で高コスト体質を温存させている構造的問題も根深い。アパレル業界ではユニクロのように、製造業者が自ら直販して中間マージンを減らすモデルが浸透している。

それに対し、メーカーと交渉のうえで独自の仕様を定めている学校の制服は、たいてい各学校が指定した地場の洋服店や百貨店などを経由して販売される。いつでも修理や追加購入などに対応できる店舗が学区周辺に必要という事情もあるが、販売店に発生するマージンの一部は当然制服の価格に反映されていく。

指定された日付に学校の教室や体育館などで行われる集団採寸は、今も地域によっては冬の恒例行事だ。最近は通常の衣料品であればEC(ネット通販)での販売や、アプリなどを活用した遠隔での採寸やオーダー衣料の注文も広まっているが、「制服の販売形態はまるで昭和。一定の需要が毎年必ずあるから、流通スタイルの革新がなくても生き残れたということだろう」(アパレル業界関係者)。

大手制服メーカーの社員も「購入者の利便性の観点でも、制服の流通スタイルが現代に合っていないのは事実」と認める。

販売店同士が結託する特殊な形態

こうした特殊な販売形態は、価格カルテルなどを生む温床にもなりかねない。狭い地域内で長年同じような販売店が指定される状況下では、豊田市のように販売店同士が販売価格を相談し合ったり、さらには指定販売店が作った任意組合が販売業者の新規参入を認めないよう学校に頼んだりするケースもある。

2017年の公取委の実態調査でも、一部の学校では新規の販売店から制服取り扱いの申し入れを受けた際に、既存の販売店や販売店組合との協議・組合への加入を条件としていたことが判明している。

前出の制服メーカー幹部は「販売店の組合の主催で集団採寸を学校で行い、そのときの制服の売り上げの一部を組合が徴収して組合員で山分けすることも多い。中には日頃営業していないような“幽霊組合員”もいて、組合に名前を載せているだけで分配金を受け取っていることすらある」と明かす。

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