台湾の超天才「唐鳳」が語るデジタル教育の本懐 39歳デジタル大臣「自ら動機を探すことが重要」

デジタルデバイスの利用は最初が肝心
――日本では今、新型コロナの感染拡大を考慮したうえで、デジタルデバイスを小学校低学年から与えるという動きが出ています。すでにデバイスを持っていて、何らかの分野に関心がある子どもたちは、自ら情報を集めることができる状態です。とはいえ、初めてデバイスを通じてデジタルに接していく小学生にとって注意すべきことは何か。それを大人はどう教えていけばよいでしょうか。
唐鳳:最も大事なことは、先ほども述べたような「自発的な態度」だと思います。例えばSNSの代表例の1つにFacebookがありますが、私は「News Feed Eradicator for Facebook」というプラグインソフトを使って、Facebookに接続して最初に出てくるニュースフィードを取り除いています。
これが意味することは何かといえば、私が自らの好奇心をもって自発的に探した情報のみ、表示されるようにしているということです。まずは「自分から探せるようにする状態」を用意しているのです。
デバイスに関しては、とくに子どもには、パソコンとは自転車と同じように、最初は自分からペダルを踏む必要がある、ということを理解させるべきでしょう。もし、最初から自動運転車が与えられれば、自主性は影響を受けてしまうおそれがあるからです。
――子どもたちがパソコンやインターネットを利用する際には、大人が使うときと違った注意が必要だということを、しっかり伝える必要がありそうですね。
唐鳳:そのとおりです。例えば「ご飯を食べる前には手をきちんと洗う」というような生物学的、心理学的衛生の概念や知識といった基本的な作法を植え付けるのは、パソコンやインターネットを利用する際にもとても大切です。食事の前には手を洗うという習慣がきちんと身に付いた子どもであれば、学校でどのような給食が提供されても問題はないでしょう。パソコンやインターネットも同じことです。

執筆:福田恵介/撮影:徐嘉駒/協力:安蒜美保/
制作:東洋経済education × ICTコンテンツチーム
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